ラオスにおける 株式の公募発行に関する細則

ラオスの証券法は2012年12月10日に成立し、2013年1月17日から施行された。証券関連活動の監督、監視、監査に関する原則、規則、措置等を定めたものである。

2019年1月28日には、証券監督委員会より、株式の発行に関する細則(改正版)が発行され、株式の発行に関する要件、申請手続き、審査方法など、詳細な規定が定められている。

株式の発行
 株式とは、企業法に定められている一般株と優先株を指す。
 株式の発行とは、会社の株式を投資家に売却することである。株式を発行するには、証券監督委員会の許可を得なければならない。
 株式の発行は、公募発行、私募発行及び株主割当の三つの形式で行うことができる。

 本報告書は、公募発行に関する規則を紹介する。

株式の公募発行
 株式の公募発行とは、不特定一般の投資家に対して、新規又は追加で株式を発行することである。公募発行は、100以上の投資家が応募する必要がある。

1.株式の公募発行の要件
 株式を後部発行する会社は、以下の要件を満たさなければならない。
 1.公開会社であること
 2.設立・営業開始から3年以上経過したこと。
  なお、設立・営業開始から3年以上経過した会社から分割、合併、または形式変更した会社の場合はその限りでない。
 3.取締役会が設置され、その内、株主会により選任された独立取締役が全体の三分の一以上占めていること。
 4.監査役会が設置され、その内、取締役会から選任された、経営に関与しない監査役(Non – Executive Directors)が3名以上占めていること。
  また、その50%以上が独立の会員であること。また、1名以上が会計・経理の知識を持っていること。
 5.株主会が承認した資金調達計画及び調達できた資金の運用計画があること。
 6.証券監督委員会への申請の年次より、監査会社により監査された過去1年分経理報告書、及び申請日の前年度の経理報告書を用意していること。
 7.過去三年間において主要の事業を変えていなかったこと。
 8.申請日の前年度の売上が10億キープ以上であること、累積赤字がないこと、過去1年間の経営において純利益を出し、
  契約上の元金や利子の一部又は全部が未返済となっている借金がないこと。ここで言う売上は主要の事業により得られたものでなければならない。
  関連事業からの売上又は支出がある場合、政府が定めた参考価額、または政府の指示、または市場価格を用いなければならない。
 9.株式発行の公募発行の準備ができていることについて、金融コンサルタント、及び株式発行保証会社からの確認があること。
  (金融コンサルタント及び株式発行保証会社の担当者名簿が必要)
 10.公募発行について株式発行保証会社から保証されていること。
 11.取締役会が承認している、本発行が成立した後の今後3年以上の公募発行計画、事業計画及び財務状況の予測があること。
 12.公開会社への展開、株式発行、及び証券市場への上場について、契約相手方、取引の相手方、債権者、賃貸人、グループ会社等、
  財務状況や事業活動に影響のある相手から承認されていること。
 13.その他、証券監督委員会が定めた要件を満たしていること。

2. 株式の公募発行の申請書類等
 株式を公募発行する会社は、証券監督委員会に以下の書類を提出しなければならない。
 1.証券監督委員会の様式に従って作成された申請書
 2.企業登記簿コピー(コンセッション事業の場合はコンセッション事業登記簿のコピーも必要)
 3.納税者ID証書コピー
 4.会社(及びグループ内の会社)の定款コピー
 5.公募発行の承認に関する株主会の決議(対象の投資家、株式数、株式の種類、売却方式、資金使用計画、配当金等に関する内容が含まれるもの
  また、当該決議は法的拘束力のあるものでなければならない)
 6.取締役や従業員への株式の売却計画(予定されている場合)
 7.保有率が1%以上の株主名簿
 8.会社及びグループ内の会社の取締役の名簿及び履歴書
 9.株式の公募発行の準備ができていることについて、金融コンサルタント及び保証会社から発効される証明書
  (金融コンサルタント及び保証会社の担当者名簿も必要)
 10.申請時より過去1年分の(監査会社による確認済の)財務報告書(6月30日以降に申請する場合は過去6か月分の財務報告書も必要)
 11.今後3年間の株式公募発行計画、事業計画及び財務状況予測
 12.目論見書
 13.証券発行に関する証券会社との保証契約
 14.会社の経営状況に関する内部監査委員会の意見書
 15.公開会社への展開、株式発行、及び証券市場への上場に関する、契約相手方、取引の相手方、債権者、賃貸人、グループ内会社の会社からの承認書
 16.人民裁判所からの証明書(法人の犯罪歴証明書)
 17.証券監督委員会が定めたその他の書類
  株式を公募発行する会社は、その発行の度に金融コンサルタントの協力を受け、申請に必要な書類を準備し、
  書類に記載された内容について責任を負わなければならない。また、当該書類は公募発行が成立してから10年以上保管しなければならない。

3.公募発行の申請の予備審査
 証券監督委員会は公募発行の申請書が提出されてからから10営業日以内に予備審査を行わなければならない。
 申請書類に不備を発見した場合は書面により申請者に通知しなければならない。
 目論見書、公募発行の保証契約書、及び公募発行の準備ができていることの証明書の完成版は公募発行の許可を得る前に証券監督委員会に提出しなければなら
 ない。

4.公募発行の申請の本審査
 証券監督委員会は完全な公募発行申請書類を受理してから45日以内に審査を完了させなければならない。
 公募発行を拒絶する場合においてもその理由とともに書面で通知しなければならない。
 証券監督委員会は証券発行申請書類の審査において、必要に応じて、監査会社による監査証明書を含む補充書類の提出を求めることや、
 証券発行会社や証券会社及びその他の関係機関の協議のための出所、並びに調査などを行うことができる。

5.公募発行に関する情報公開
 公募発行する会社は、完全な公募発行申請書類が受理された後、売却価格、予測した発行期間その他証券監督委員会が公開を禁止した情報以外の、
 申請書類に記載された情報を公開することができる。
 但し、情報公開の3営業日前までにその旨を証券監督委員会に通知しなければならない。

6.公募発行における売出プロセス
 株式の売出が許可されたら、以下のプロセスに従って実施する
 1.株式の売出が許可されたことについて公告する(連続の5営業日以上)
 2.株式の売出についてマスコミを通じて広告する(予約日10営業日前)
 3.証券を購入予約し、予約金を納める
 4.証券を割当てる
 5.予約金を返却する
 6.株式保有証明書を発行する

 株式の売出はその許可を取得した日から90日以内に完了させなければならない。
 この期間内に完了できなかった場合、株式発行会社は30日間を上限に、売出期間の延長を証券監督委員会に申し立てることができる
 (期間満了の5営業日前までに申請を行う必要がある)。

7. 公募発行の結果
 保証会社は、公募発行の終了後の5営業日以内に、その結果を証券監督委員会に書面による報告をしなければならない。
 証券監督委員会は、保証会社からの報告書の受理後の5営業日以内に、その結果を確認しなければならない。
 株式の公募発行は、発行株式数の80%以上が売却されたことが、公募発行が成立する要件であり、それを下回った場合、当該株式発行は不成立と見なされる。

8.取締役及び従業員への株式の売却
 株式を公募発行する会社が取締役及び従業員に対し株式を売却する場合、株主会による承諾の決議を得なければならない。
 また、取締役及び従業員へ売却する株式数は、公募発行の全体の10%以下でなければならない。
 株式を購入した取締役及び従業員は、当該株式を1年以上保有してから売却することができる。