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2024/11/08

育児・介護休業法が大幅改正(2025年4月施行)、改正内容のポイント解説

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育児・介護休業法が大幅改正(2025年4月施行)、改正内容のポイント解説

目次

~はじめに~

 改正育児・介護休業法が2024年5月24日の参議院本会議で可決・成立し、2024年5月31日に公布されました。
 本改正では、「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充」や「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化」をメインとして、さまざまな施策が講じられることになります。施行は2025 年4月1日の施行(一部を除く)と、まだ先となりますが、企業にとっては、育児・介護休業規程等の就業規則の変更が必要になる部分もあり、実務上も影響が大きいため、今から内容をしっかり押さえる必要があります。
 本news letterでは、改正内容の主なポイントに絞ってご案内します。今後、具体的な運用方法を示した省令および指針が議論され、決定される予定です。


1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

<項目>

<改正内容>

3歳以上の小学校就学始期前の子を養育する労働者に対する措置を行う義務の新設 ※施行日未定

(現行)子の看護休暇、時間外労働の制限、深夜業の制限
(改正)以下の中から事業主が2つを選択して措置を講ずる義務を追加
a) 始業時刻等の変更
b) テレワーク
c) 短時間勤務
d) 新たな休暇の付与
e) その他、働きながら子を養育しやすくするための措置

所定外労働の制限の対象拡大

(現行)3歳になるまでの子を養育する労働者
(改正)小学校就学前までの子を養育する労働者に拡大

子の看護休暇の対象拡大

(現行)ケガや病気の世話、病気の予防のために必要な世話(予防接種・健康診断)
(改正)感染症に伴う学級閉鎖等や、行事参加(入園式(入学式)、卒園式)も対象に
子の看護等休暇に名称変更

(現行)小学校就学前まで
(改正)小学校3年生修了前までに延長

(現行)勤続6ヵ月未満の労働者を労使協定に基づき除外可
(改正)仕組み廃止

3歳になるまでの子を養育する労働者に関する努力義務の拡大

(現行)時差出勤、育児休業に準ずる制度 (改正)テレワークも対象に

個別の意向聴取・配慮の義務の拡大 ※施行日未定

(現行)妊娠・出産等の申し出時 (改正)子が3歳になるまでの適切な時期に、柔軟な働き方を実現するための措置に関する個別の意向聴取・配慮を追加



2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化

<項目>

<改正内容>

育児休業取得率の公表義務の対象拡大

(現行)労働者数1,000人超の事業主
(改正)労働者数300人超の事業主に拡大

次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時の義務

(改正)育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を義務付け

次世代育成支援対策推進法の期限の延長

(現行)令和7年3月31日まで
(改正)令和17年3月31日まで延長



3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

<項目>

<改正内容>

個別の周知・意向確認を行う義務の新設

(改正)労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを義務付け

早期の情報提供や雇用環境の整備の義務の新設

(改正)介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供の義務付け 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備の義務づけ

介護休暇の対象拡大

(現行)勤続6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外可 (改正)仕組み廃止

努力義務の追加

(改正)家族を介護する労働者に対し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容にテレワークを追加



【本稿は2024年6月号のニュースレターにて執筆されたものです】
 ASCOPEでは企業活動に関わる法改正や制度の変更等、毎月耳よりの情報をニュースレターの形で顧問先の皆様にお届けしております。
 会社法務に精通した社会保険労務士、顧問弁護士をお探しの企業様は、是非ASCOPEにご依頼ください。
社労士事務所ASCOPE 監修

本稿執筆者
社労士事務所ASCOPE 監修

本稿執筆者からのメッセージ

 今号では、2025年以降施行予定の改正育児・介護休業法に関わる概要をご紹介しました。今回の改正法が公布され、施行に向かう中で、さらなる議論も進められることになります。
 各改正項目の詳細については、確定し次第改めてご紹介する予定です。

 育児・介護休業法については近年頻繁に改正されていることから、現場における理解不足、対応漏れ等が問題となりがちです。折を見て、社内規程が最新の内容になっているか、法に則した実務対応ができているかを確認しておくと良いでしょう。

 とりわけ、介護関連の諸制度については法改正までに十分に理解を深めておくことをお勧めします。一般的に、介護休業や介護休暇は、利用者の少なさから「社内規程に記載があるが、実はきちんと理解できていない制度」の典型となりがちです。しかしながら、前ページでご紹介のとおり、2025年度改正では、新設される項目も多くあります。企業として「知らなかった」では済まされませんから、正しく対応できるように準備を進めておきましょう。

 改正内容等についてご不明な点がある場合や、法改正に伴うご相談は直接、担当弁護士・社労士にご相談いただけますと幸いです。

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労務周りの「お困りごと」を解消します。

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