法律事務所 アスコープ AS COPE S COPE Law Office法律事務所 アスコープ AS COPE S COPE Law Office

企業危機管理対応

\全国対応・初回相談無料/

関連コラム

トップページに戻る

課徴金減免制度(リーニエンシー制度)について

執筆者
出口智之(弁護士)/静岡県弁護士会

はじめまして。弁護士の出口智之です。
問題を解決するうえで第一に重要なのは、皆様と信頼関係を築くことであると考えています。
そのため、皆様と綿密にコミュニケーションを取って不安に寄り添い、抱えている問題の解決に向けて真摯に努めてまいります。

●プロフィール
静岡県立韮山高等学校 卒業
一橋大学法学部 卒業
一橋大学法科大学院 修了

CHAPTER1

課徴金減免制度(リーニエンシー制度)の概要

1 概要及び適用場面

(1) 課徴金制度の概要

課徴金は、「事業者が、不当な取引制限又は不当な取引制限に該当する事項を内容とする国際的協定若しくは国際的契約であつて、商品若しくは役務の対価に係るもの又は商品若しくは役務の供給量若しくは購入量、市場占有率若しくは取引の相手方を実質的に制限することによりその対価に影響することとなるものをしたとき」に、国庫に納付する金銭(独禁法第7条の2第1項)です。
課徴金は、不当な取引制限(カルテルなど。法7条の2第1項)、私的独占(法7条の9第1項、2項)、共同の取引拒絶(法20条の2)、差別対価(法20条の3)、不当廉売(法20条の4)、再販売価格拘束(法20条の5)、優越的地位の濫用(法20条の6)の場合にそれぞれ課されます。
課徴金額は、
①違反行為期間中の対象商品・役務の売上+密接関連業務の対価の額(不当な取引制限及び支配型私的独占の場合)
×
②課徴金算定率(各行為類型によって1%~10%)

③違反期間中の財産上の利益
によって決まります。

(2) 課徴金減免制度(リーニエンシー制度)の概要

課徴金減免制度(リーニエンシー制度)は、違反行為をした事業者が、違反内容を公正取引委員会に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度です。
課徴金減免制度は、課徴金が課される違反行為のうち、カルテル及び入札談合の場合にのみ適用されます(法7条の4、法7条の2第1項)。
そして、減免申請の順位に応じた減免率に、事業者の協力が事件の真相の解明に資する程度に応じた減算率を加えた減免率が適用されます。

2 具体的な減額割合

(1) 公取委の調査開始前

第1位:全額免除
第2位:20%+協力度合いによって最大+40%(最大60%)
第3位から第5位:10%+協力度合いによって最大+40%(最大50%)
第6位以下:5%+協力度合いによって最大+40%(最大45%)

(2) 公取委の調査開始後

最大3社(先着):10%+協力度合いによって最大+20%(最大30%)
*ただし、減軽率が10%となるのは、調査開始前の申請者と合わせて5社以内である場合のみ。
上記以下:5%+協力度合いによって最大+20%(最大25%)

3 刑事告発の扱いについて

「調査開始日前」に、「最初に減免申請を行った事業者」については、公正取引委員会は刑事告発を行なわない方針となっています。
併せて、当該事業者(最初に減免申請を行った事業者)の役職員であってカルテル・入札談合等の実行行為を行った者についても、公正取引委員会への減免申請のための社内調査への協力等当該事業者と同様に評価すべき事情が認められる場合には、同様に刑事告発を行なわない方針となっています。
したがって、刑事告発が予想されるほどに重大な違反行為が認められる事案においては、刑事告発の有無において減免申請の順位第1位と第2位には大きな差があります。
詳細は、「独占禁止法違反に対する刑事告発及び犯則事件の調査に関する公正取引委員会の方針」(平成17年10月7日公正取引委員会)を参照してください。

4 減免が適用されない場合

課徴金減免申請をした場合においても、次にあたる場合は、減免を受けられません。

  • ①減免申請において報告した事実若しくは提出した資料又は調査協力減算制度の下で調査協力の合意に基づき報告した事実若しくは提出した資料に虚偽の内容が含まれていた場合(法第7条の6第1号)
  • ②調査開始日前の最初の減免申請者が追加報告要求により求められた事実の報告若しくは資料の提出をしなかった場合又は当該要求に対して虚偽の事実の報告若しくは資料の提出を行った場合(同条第2号)
  • ③調査開始日前の2番目以降又は調査開始日以後の減免申請者が追加報告要求を受けて虚偽の事実の報告又は資料の提出を行った場合(同条第3号)
  • ④減免申請者が他の事業者に違反行為をすることを強要し、又は違反行為をやめる事を妨害した場合(同条第4号)
  • ⑤減免申請者が他の事業者に対し、減免申請を行うこと又は調査協力減算制度の協議の申出を行うことを妨害した場合(同条第5号)
  • ⑥減免申請者が正当な理由なく、減免申請を行った旨又は調査協力減算制度の下で調査若しくは協議を行った旨を第三者に明らかにした場合(同条第6号)
  • ⑦減免申請者が調査協力減算制度の下で調査協力の合意を行ったにもかかわらず、当該合意に係る行為をしなかった場合(同条第7号)

5 具体的な進め方の一例

(1) 公取委調査開始前

  1. ①公取委に電話等で事前連絡をする
  2. ②減免手続申請書(様式第1号)の提出→受付順位の仮確定
  3. ③2週間後程度で報告書(様式第2号)及び資料の提出→報告書の受理
    *様式2号の提出には期限が定められますが、期限まで公取委が調査しないことまでは保証されておらず、期限より前に調査が開始された事例もあります。
    公取委のQ&Aによれば、「事前相談で提供された情報自体を端緒として利用することはありません。ただし,同一の事件について他の情報に基づいて調査に着手することがあります。」と回答しています。(公取委HP問16参照(2023年8月8日閲覧時点))
    (第2位以下の場合)
  4. ④調査協力減算制度:協議の申出書(様式第4号)の作成

(2) 公取委調査開始後

  1. ①公取委の調査開始を受けて、事業者による内部調査
  2. ②公取委に対応を相談
  3. ③報告書(様式第3号)の提出→受理
  4. ④調査協力減算制度:協議の申出書(様式第4号)の作成
    *調査開始から20営業日以内に様式第3号を提出する必要があります。

(3) その他

  • ・様式1号~3号の申請方法はメールのみ

以上

Point

  • カルテル及び入札談合の場合に、課徴金減免制度を利用することができる可能性がある。
  • 先に報告した事業者ほど減額の割合は大きくなり、公正取引委員会の調査が開始する前に違反内容を報告したほうが減額の割合が大きくなる可能性が高い。
  • 早い段階で対応することが重要となる。

独禁法への対応は、知見豊かなアスコープの弁護士にご相談ください!

まずはお気軽にご相談ください

\全国対応・初回相談無料/

受付では、一旦下記についてお聞きいたします。法人名(ご担当者名)/所在地/電話番号/相手方氏名(コンフリクト防止のため)/
相談内容の概要(相手方代理人名、次回期日、進捗状況など)/ご来所可能日時など

トップに戻る