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2021.05.27
[2021.06.16 追記]

建設アスベスト訴訟の最高裁判決(令和3年5月17日判決)と新たな国の補償制度について

1 令和3年5月17日最高裁判決について

 令和3年5月17日の最高裁判決において、裁判所は、国が、防じんマスクの着用義務付けなど適切な規制権限の行使を怠ったとして、国の責任を認めるとともに、一部建材メーカーに対しても、建材の警告表示義務を怠ったとして責任を認めました。
 他方、一部高裁判決で認められていた屋外作業者についての責任は認められませんでした。

2 国との関係(国との和解内容について)

(1)基本合意書の締結
令和3年5月18日、原告団・弁護団と国との間で基本合意書が締結されました。
※厚生労働省ホームページ:建設アスベスト訴訟に係る「基本合意書」締結について

この基本合意書によれば、令和3年5月17日までに提訴された事件については

① 昭和50(1975)年10月1日から平成16(2004)年9月30日までの間に、
(吹付作業に従事した者にあっては昭和47(1972)年10 月1日から昭和50(1975)年9月30日までの間に)

② 屋内建設作業(屋内吹付作業も含む。)の従事によって石綿(アスベスト)粉じんにばく露し(注1)

③ 石綿関連疾患(石綿肺管理2・3・4、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)を発症した

④ 労働者・一人親方・労災保険の特別加入資格を有する中小企業主及びそのご遺族に対して、次のとおりの和解金を国が支払うこととなりました。

(2)新たな国の補償制度について
 また、基本合意書においては、原告団と国との間で、令和3年5月17日時点で未提訴の被害者に対する補償についても合意されました。
 そして、今国会において「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立し、成立から1年以内に運用が開始されます。
 その内容として、給付金の支払い対象者は、上記①~④の対象となる被害者と同様としています。また、その支払額は、上記の表の額と同様です(減額要素がある場合についても同様)。
 また、給付金の支給を受けた者が、症状の進展により上記の表の上位の病態等の区分に新たに該当することとなった場合には、追加給付金として、支払済の給付金の額との差額を支払われます。
 この補償制度の特徴として、国に対する訴訟提起を経ずに給付金申請が可能となっています。
 なお、被害者の死亡に係る給付金の請求をすることができるご遺族の範囲は、配偶者(事実婚含む)、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹です(記載した順から優先)。

3 建材メーカーとの関係

 上述のとおり、令和3年5月17日の最高裁判決において、一部建材メーカーの責任が認められています。
 最高裁判決では、特定の建材について、一定以上のシェアを有する一部建材メーカーの責任を認め、一部建材メーカーに対してシェアに応じた寄与度を算定し、責任割合を加味して算出した金額の賠償を命じています。
 新たな国の補償制度では、国の責任分についての補償をすることとされていますが、報道等によれば、建材メーカーにおける同様の制度の設立は、一部の建材メーカーが難色を示しているとのことであり、現段階において、建材メーカーに対する責任を追及するためには、個別に各企業に対して交渉・訴訟等の対応をする必要があります。
 なお、元勤務先企業・元請け企業についても、同様に、個別に各企業に対して交渉・訴訟等の対応をする必要があります。

4 ご相談について

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