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2024.01.19

アスベスト含有建材(石綿セメント円筒(煙突材))について

森﨑 蓮

本稿執筆者 森﨑 蓮(もりさき れん)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

長崎県立長崎東高等学校 卒業
早稲田大学法学部 卒業
早稲田大学法科大学院 修了
早稲田大学法科大学院 アカデミックアドバイザー(2022年~)

日々を過ごす中で気になることがございましたら、遠慮なくご相談いただければと思います。小さな悩みを解消することが大きな不安を取り除くことにもつながります。皆様の一助となれるよう尽力します。どうぞよろしくお願いいたします。

アスベスト含有建材(石綿セメント円筒(煙突材))について

〈目次〉

1.はじめに

2.石綿セメント煙突とは(用途・種類・使用時期など)

3.天井板使用による石綿粉じん曝露可能性のある職種及び作業

4.考えられる救済制度等のご紹介

5.石綿セメント円筒について、建材メーカーの損害賠償責任を肯定した裁判例



1.はじめに

 建設作業等の業務中における石綿ばく露が原因で、石綿関連疾患(中皮腫、石綿肺など)を発症された方については、労災補償、石綿健康被害救済給付及び建設型アスベスト給付金の申請といった救済制度の活用のほか、建材メーカーに対する損害賠償請求といった方法が考えられます。
 このうち、労災補償や建設型アスベスト給付金の申請においては、申請者の石綿関連疾患が石綿にさらされる業務に従事したことで発症したといえるかが、手続を進めるうえで重要なポイントとなり、手続きの過程で、取り扱っていた建材にアスベストが含まれていたかどうかを確認するために、申請先である労働基準監督署や厚生労働省から「業務中にどのような建材を扱っていたか」確認される場合があります。さらに、建材メーカーに対する損害賠償請求の可能性を検討する上では、業務中に取り扱っていた石綿含有建材の使用時期を確認する必要があります。
 そこで、本記事においては、アスベスト関連疾患について各種救済方法をご検討されている方に向けて、アスベストが含有されていた建材のうち、「石綿セメント円筒」について、主に①どのような建材であるのか(用途や種類、製造時期について)、そして②具体的にどのような職種(作業)において石綿セメント円筒が使用され、石綿粉じんにばく露する原因となる可能性があるかという2点について解説します。

2.石綿セメント円筒とは(用途・種類・使用時期など)

 石綿セメント円筒とは、セメント及びアスベストを主原料として製造し、円筒状に成形した建材を言います。

(1)種類
  石綿セメント円筒は、その区分方法が多様にあり、耐熱性や形状等により区分されることが多々あります。耐熱性により区分する場合には、普通管と火口管に区分され、形状により区分する場合には、直管と異形管(十字管、曲がり管、T字管など)に区分されます。具体的な製品名としては、企業名を冠したものが多く、「●●普通煙突」、「●●火口管」、「●●曲り管」のような名前を付した商品として扱われています。

(2)原料
  石綿セメント円筒は、セメント、アスベスト、混和材料を原料としており、これらの原料に適量の水を加えて混合することにより製造されます。

(3)石綿含有率
  国土交通省・経済産業省のデータベース上列挙されている石綿セメント円筒の石綿含有率は、商品やメーカーによって多少の差があるものの、おおむね10%から20%を推移しております。

(4)製造期間
  石綿セメント円筒の製造期間について、製品ごとに差があります。最も長く製造されていた石綿セメント円筒で、1960年から2000年までの約40年間製造されておりました。

(5)用途
  石綿セメント円筒の主要な用途は煙突や臭気抜きにあります。住宅では、換気用円筒材、煙突、雑排水管、し尿・汚物排水管などの、遮音性が要求される部分の排水管等に使用されるほか、ビル建築においてはダクトやダストシュートなどに使用されておりました。

3.石綿セメント円筒使用による石綿粉じんのばく露可能性のある職種及び作業

 石綿セメント円筒を使用することにより石綿粉じんにばく露する可能性がある職種や作業としては、配管工が考えられます。
 配管工は、給排水設備工事、電気設備工事など様々な作業に従事しますが、一般的な配管工が主に従事するのは、給排水設備工事、空調設備工事、換気設備工事です。後記裁判例においても、配管工は、排水管として用いられていた石綿セメント円筒を寸法に合わせて切断する作業に際し、石綿粉じんに曝露する可能性があると指摘されています。

4.考えられる救済制度等のご紹介

 上記2で説明した石綿含有建材を使用した建設現場において、天井板を使用する職務に従事し、石綿関連疾患を発症してしまった方については、以下の手続を行える可能性があります。

 ①労災制度による補償
   仕事が原因となって生じた負傷、疾病、障害、死亡(業務災害)を被った労働者やそのご遺族に対して保険給付などがなされる制度です。
 ②石綿健康被害救済制度(石綿による健康被害の救済に関する法律)に基づく給付
   石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、石綿による健康被害を受けられた方及びそのご遺族の方で、労災補償等の対象とならない方に対し迅速な救済を図ることを目的とした制度です。
 ③国に対する損害賠償請求(国家賠償請求)
 ④建設アスベスト給付金制度
   建設現場で業務に従事したことで石綿に曝露し、中皮腫・肺がんなどの石綿関連疾患を発症した患者やその遺族に対し、一定の要件を満たす場合に国が給付金を支給する制度です。
 ⑤使用者(又は一定の要件を満たす元請企業)に対する損害賠償請求
 ⑥建材メーカーに対する損害賠償請求

※それぞれの制度の詳細については、弊所に一度お問い合わせください。

5.石綿セメント円筒について、建材メーカーの損害賠償責任を肯定した裁判例

 以下では、裁判例上建設作業中にアスベスト被害を受けた被災者らについて、建材メーカーの責任が肯定された事例をご紹介いたします。

◆東京地裁令和2年9月4日判決(首都圏建設アスベスト損害賠償請求東京訴訟(第2陣)事件)◆
  同判決において、裁判所は、ある製品を製造・販売する者は、製品の製造・販売者は、製品の使用者に対し、製品について社会通念上当然に具備すると期待される安全性を確保すべき注意義務を負っているという一般論を展開したうえで、石綿については重篤な石綿関連疾患を引き起こす危険性のある有害物質であり、その危険性は、製品使用者の生命、身体の安全に関わるものとしたうえで、企業は、その当時入手可能な最高、最新の学問・技術水準に基づいて、当該製品から発生する危険を予見し、被害発生を防止するために必要かつ相当な対策を適時かつ適切に講ずべき高度の注意義務を負っていると判示しました。
 そのうえで、いかなる建材メーカーが責任を負うのかについて、裁判所は、被災者(石綿粉じん曝露の被害者)の職種が一般的・類型的に見て直接取り扱うであろう石綿含有建材を特定し、被災者の石綿粉じん曝露の主な原因となったであろう石綿含有建材を特定して、当該建材について、概ね10%以上のシェアを有する企業が不法行為責任を負うとした原告主張の判断基準を採用し、これに即して建材メーカーの責任を検討しました。
 石綿セメント円筒の場合、これを製造していたA社が20%を超えるシェアを有していたものと認め、これを主要な石綿曝露建材とする被災者らに到達していたものと認定し、A社の損害賠償責任を肯定しました。

【弁護士への相談について】

 中皮腫、石綿肺などの石綿関連疾患の診断を受け、治療を受けている方で、過去に石綿含有の天井板を使用する業務に従事した経験のある方は、上述した手続を行える可能性がありますので、ぜひ一度弊所までお問い合わせください。
 また、当時従事していた作業の詳細が分からない場合であっても、お気軽に弁護士までご相談ください。現在の状況で、どのような手続を進められる可能性があるのか一緒に検討させていただきます。

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