本稿監修者
樋沢 泰治(ひざわ たいじ)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士
【ポイント】
・アスベストにより労災認定された方が、国家賠償請求等を検討している場合、労災認定時に労働基準監督署が作成した調査資料を取得することが必要となります。
・労災認定の調査資料を取得するためには、労災認定を受けた本人又は労災保険給付を受給している遺族の方で書類を作成し、提出することが必要となります。
・労災認定の調査資料の開示決定がなされるまで、1か月以上かかることが多いです。
〈目次〉
第1 はじめに
第2 労災認定時の調査資料の開示請求先について
第3 開示請求に必要な書類について
1 申請書類について
2 本人確認書類について
3 手数料について
第4 労災認定資料の開示・不開示決定が通知される期間について
第1 はじめに
アスベストが原因で労災認定された方が、国家賠償請求や企業賠償等を検討している場合、まずは、労災認定時に労働基準監督署が作成した調査資料を取得することが必要となります。
以下では、労働基準監督署の作成した調査資料の取得方法を具体的に紹介していきます。
第2 労災認定時の調査資料の開示請求先について
労働基準監督署の作成した調査資料の開示請求先は、労災認定を行った労働基準監督署を管轄する
都道府県労働局に対して行います。
第3 開示請求に必要な書類について
労働基準監督署の作成した調査資料の開示を行うためには、以下の書類が必要となります。また、労災認定の調査資料の開示を請求できる主体は、労災認定を受けた本人又は労災保険給付を受給している遺族に限られます。
1 申請書類
・ 保有個人情報開示請求書 【記載例はこちら】
※あて名(行政機関の長)は、「●●労働局長」となります。
2 本人確認書類について
(1) 直接窓口にて開示請求を行う場合
直接窓口にて開示請求を行う場合には、窓口にて本人確認を行います。そのため、
本人確認書類(本人の住所地が記載されている運転免許証や健康保険被保険証等)を持参することが必要となります。
(2) 郵送による開示請求の場合
また、郵送による開示請求を行う場合、
保有個人情報開示請求書と一緒に本人確認書類の写しと住民票(開示請求の前30日以内に発行されたもの。マイナンバー(個人番号)の記載されていない住民票)も郵送する必要があります。
3 手数料について
開示請求手数料は、
1件につき300円となります。なお、郵送により開示請求を行う場合、郵送の費用も別途生じます。
※「①保有個人情報開示請求書」の所定の場所に300円分の収入印紙を貼付することが必要となります。
第4 労災認定資料の開示・不開示決定が通知される期間について
労災認定資料の開示・不開示の決定は、法律の定めにより30日以内に行わなければならないとされています。
ただし、法律上、都道府県労働局が事務処理上の困難その他正当な理由により30日以内に開示・不開示の決定を行うことが困難な場合には、更に30日延期できるとされており、労災認定資料は枚数が多くなりがちであることから、この規定により開示決定まで30日以上かかる場合が多く見られます。
【弁護士への相談について】
労災認定資料がある場合、弁護士が労災認定資料に基づいて速やかに調査を行うことができるため、弁護士に相談する前に労災の認定資料の開示をおすすめします。しかし、労災の認定資料を開示することをご自身で行うことが難しい場合、開示請求方法などもアドバイスできますので、お気軽に弁護士にご相談ください。