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2022.01.26

建設アスベスト給付金の制度概要について

紺野 夏海

本稿執筆者 紺野 夏海(こんの なつみ)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

錦城高等学校 卒業
中央大学法学部 卒業
中央大学法科大学院 修了

私は、依頼者の方と信頼関係を築けるよう、常に誠意を持って対応することを心がけております。依頼者の方から、相談して良かった、と思っていただけますよう尽力いたします。

【ポイント】 ・令和4年1月19日に建設アスベスト給付金に関する法律が施行され、給付金の申請受け付けが開始されました。 ・建設アスベスト給付金の制度を利用することで、国に対する訴訟提起を経ずに給付金の請求が可能です。 ・対象者には病態区分に応じて国から給付金が支給されます。 ・労災支給決定等情報提供サービスを受けた方については、給付金申請の必要書類が一部省略されます。 ・給付金の申請には請求期限があります。 ・給付金を支給された後に症状が悪化した方には、請求することで追加給付金が支給されます。
【参照:厚生労働省ホームページ「建設アスベスト給付金制度について」(令和4年1月20日に閲覧)】


〈目次〉


第1 給付金の支給対象者
第2 給付金額
 1 原則
 2 減額・調整される場合
第3 給付金の請求期限
第4 給付金の請求手続
 1 労災支給決定等情報提供サービスについて
 2 労災支給決定等情報提供サービスを受けている場合に必要な書類
 3 労災支給決定等情報提供サービスを受けていない場合に必要な書類
 4 給付金が支給されるまでの期間

第1 給付金の支給対象者

 次の1~3の全ての要件を満たす方が対象です。

1.特定石綿ばく露建設業務(※1)に従事したこと
期間 業務
S47.10.1~S50.9.30 石綿の吹付けの作業に関する業務
S50.10.1~H16.9.30 屋内作業場(※2)で行われた作業に関する業務
※1 建設業務とは、土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊または解体の作業及びこれらの準備の作業並びにこれらの作業に付随する作業(現場監督の作業を含む。)をいいます。 ※2 屋内作業場とは、「屋根があり、側面の面積の半分以上が外壁などに囲まれ、外気が入りにくいことにより、石綿の粉じんが滞留するおそれのある作業場」とされています。

2.特定石綿ばく露建設業務に従事したことにより石綿関連疾病にかかったこと   石綿関連疾病は、以下のとおりです。
  ・中皮腫
  ・肺がん
  ・著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚
  ・石綿肺(じん肺管理区分が管理2・3・4であるもの)
  ・良性石綿胸水

3.労働者・一人親方等であったこと(またはその遺族であること)   以下のいずれかに当たる必要があります。
  ・労働者
  ・中小事業主

  中小事業主とは、特定石綿ばく露建設業務に従事していた当時、次の表の数以下の労働者を使用していた事業主です。
主たる事業
時期 金融業・保険業・不動産業・小売業 サービス業 卸売業 左記以外
S40.11.1~S48.10.14 50人 50人 50人 300人
S48.1015~H11.12.2 50人 50人 100人 300人
H11.12.3~現在 50人 100人 100人 300人
  ・一人親方
  ・家族従事者等
  ・遺族

  給付金の支給対象となる遺族は、次のうち番号が最も若い方です。   ①配偶者(内縁の方を含みます。)、②子、③父母、④孫、⑤祖父母または、⑥兄弟姉妹


第2 給付金額

1 原則   給付金の金額は、認定審査会の審査の結果に基づいて、病態区分に応じ厚生労働大臣が決定します(注1)
石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症(注2)のない方 550万円
石綿肺管理2でじん肺法所定の合併症のある方 700万円
石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のない方 800万円
石綿肺管理3でじん肺法所定の合併症のある方 950万円
中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、石綿肺管理4、良性石綿胸水である方 1,150万円
上記1及び3により死亡した方 1,200万円
上記2、4及び5により死亡した方 1,300万円
(注1) 給付金を支給された後に症状が悪化した方は、請求に基づき、追加給付金(表における区分の差額分)が支給されます。 (注2) じん肺法所定の合併症とは、肺結核、結核性胸膜炎、続発性気管支炎、続発性気管支拡張症、続発性気胸のことです。

2 減額・調整される場合
 (1) 減額される場合
   特定石綿ばく露建設業務に従事した期間が以下に当てはまる場合には、給付金の額が1割減額されます。
肺がん、石綿肺の方 10年未満
著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚の方 3年未満
中皮腫、良性石綿胸水の方 1年未満
   また、肺がんの方で喫煙の習慣があった方についても、給付金の額が1割減額されます。

 (2) 調整される場合    既に国から石綿関連被害で和解金の支払いを受けた方や判決による賠償が行われた方も給付金の請求を行うことができます。ただし、この場合には、国から支払いを受けた価額を限度として給付金の支給額が調整されます。    また、勤務先の企業等の国以外の者から和解金の支払いを受けた方や判決による賠償が行われた方も給付金の請求を行うことができます。ただし、国以外の者から和解金等の支払いを受けた場合には、それらの損害の補填の額に応じて給付金の支給額が調整されることがあります。


第3 給付金の請求期限

 給付金の請求期限は次のとおりです。

 ①石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断があった日、若しくは②石綿肺についてのじん肺管理区分の決定があった日のいずれか遅い方の日から起算して20年

 または

 ③石綿関連疾病により死亡した日から起算して20年


第4 給付金の請求手続

1 労災支給決定等情報提供サービスについて   労災支給決定等情報提供サービスは、建設アスベスト給付金の請求手続きの利便性の向上を図るために実施が開始されたサービスです。このサービスを利用することで、建設アスベスト給付金の請求に必要となる情報を簡単に把握したり、請求に必要な添付書類の一部を省略することができます。また、当該情報提供サービスは無料で利用することができます。

 (1) 労災支給決定等情報提供サービスの対象者    当該情報提供サービスの対象者は、建設アスベスト給付金の支給を受けようとする方で、次のいずれにも当てはまる方です。

  ①石綿関連疾病に関する労災支給決定か、石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定を受けていること   ②特定石綿ばく露建設業務に従事したこと

   なお、給付金を請求するにあたり、あらかじめ労災支給決定または石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定を受けていることは要件とされていません。もっとも、労災支給決定や石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定を受けた後に給付金の請求を行う方が給付金請求の手続きが簡易になるため、国はこの流れでの請求を勧めています。

 (2) 申請方法    労災支給決定等情報提供サービス申請書及び必要な添付書類を厚生労働省労働基準局労災管理課に郵送します。    申請書類について、詳しくは、厚生労働省パンフレット「労災支給決定等情報提供サービスをご活用ください」 をご覧ください。

2 労災支給決定等情報提供サービスを受けている場合に必要な書類   給付金の請求は、必要な書類をそろえて厚生労働省労働基準局労災管理課に郵送することにより行います。労災支給決定等情報提供サービスを受けている場合に必要な書類は次のとおりです。   書類の様式については、厚生労働省ホームページをご覧ください。
書類の種類 備考
①給付金等請求書(特-様式1)
②委任状または成年後見人等であることを証明する書類等 以下の場合にのみ必要です。
・請求者が労災支給決定等情報提供サービス申請者と同一でない場合、または申請時と同一住所でない場合
・請求者が任意代理人であって、給付金の請求の委任まで確認できない場合
③労災支給決定等情報提供サービスの通知書のコピー
〈本人確認に必要な書類〉
④住民票の写し(住民票記載事項証明書)
以下の場合にのみ必要です。
請求者が労災支給決定等情報提供サービス申請者と同一でない場合、または申請時と同一住所でない場合
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
⑤戸籍謄本等
以下の場合にのみ必要です。
労災支給決定等情報提供サービスの申請時に提出されている戸籍謄本等で、請求者が最先順位の遺族であることが確認できない場合
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
⑥死亡届の記載事項証明書(死亡の事実や死亡の原因が確認できる書類)
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
⑦請求者が事実婚の場合はそれを証明する書類(続柄に「妻(未婚)」等と表示されている住民票、民生委員発行の事実婚証明書等)
以下の場合にのみ必要です。
請求者が労災支給決定等情報提供サービス申請者と同一でなく、かつ、被災者の事実上の配偶者である場合
⑧労災支給決定やじん肺管理区分決定等を受けた事実が分かる資料 以下の場合にのみ必要です。
労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合
⑨就業歴・石綿ばく露作業歴の分かる資料(就業歴等申告書 通-様式3(続紙・別紙) 以下の場合にのみ必要です。
労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合
⑩石綿関連疾病への罹患が分かる資料(診断書 共-様式1~5)、診断の根拠となる資料 以下の場合にのみ必要です。
労災支給決定等情報提供サービスにより提供を受けた内容と異なる請求をする場合
〈企業等から賠償金等を受け取っている場合に必要な資料〉
⑪企業等からの受領金額の分かる資料
以下の場合にのみ必要です。
企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合
⑫振り込みを希望する金融口座の通帳またはキャッシュカードの写し
⑬資料の日本語訳 以下の場合にのみ必要です。
日本語以外で作成された資料がある場合

3 労災支給決定等情報提供サービスを受けていない場合に必要な書類   労災支給決定等情報提供サービスを受けていない場合に必要な書類は次のとおりです。
書類の種類 備考
①給付金等請求書(通-様式1)
②委任状または成年後見人等であることを証明する書類等 以下の場合にのみ必要です。
任意代理人や法定代理人が請求を行う場合
〈本人確認に必要な書類〉
③住民票の写し(住民票記載事項証明書)
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
④戸籍謄本等
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
⑤死亡届の記載事項証明書(死亡の事実や死亡の原因が確認できる書類)
〈請求者が遺族である場合に必要な書類〉
⑥請求者が事実婚の場合はそれを証明する書類(続柄に「妻(未婚)」等と表示されている住民票、民生委員発行の事実婚証明書等)
以下の場合にのみ必要です。
請求者が被災者の事実上の配偶者である場合
⑦労災支給決定やじん肺管理区分決定等を受けた事実が分かる資料 以下の場合にのみ必要です。
・労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付金の支給決定・不支給決定がある場合
・石綿救済法の救済給付に関する認定・不認定がある場合
・じん肺法に基づくじん肺管理区分決定がある場合
⑧就業歴・石綿ばく露作業歴の分かる資料(就業歴等申告書 通-様式3(続紙・別紙、被保険者記録紹介回答票等)
⑨石綿関連疾病への罹患が分かる資料(診断書 共-様式1~5)、診断の根拠となる資料 以下の場合は不要です。
・請求する区分の疾病が、労災保険給付・石綿救済法の特別遺族給付の支給決定と同様の場合
・請求する区分の疾病が、石綿救済法の救済給付に関する認定と同様の場合
〈企業等から賠償金等を受け取っている場合に必要な資料〉
⑩企業等からの受領金額の分かる資料
以下の場合にのみ必要です。
企業等から損害賠償金や和解金などを受け取っている場合
⑪振り込みを希望する金融口座の通帳またはキャッシュカードの写し
⑫資料の日本語訳 以下の場合にのみ必要です。
日本語以外で作成された資料がある場合

4 給付金が支給されるまでの期間   給付金の支払いは、厚生労働省から給付金の委託を受けている独立行政法人労働者健康安全機構が支払い決定通知書を送付し、請求者の金融口座に振り込まれることとなっています。   給付金の請求から給付金支給の認定・不認定の決定までに要する期間については、現時点で明らかになっておらず、調査や審査に要する期間は請求者の個別の事情により異なるようです。

【弁護士への相談について】

 今回紹介しました建設アスベスト給付金の制度により、石綿関連疾病に被災した方は国に対する訴訟手続を経ずに、精神上の苦痛を受けたことに対する損害の賠償がなされることになりました。給付金の請求には期限がありますので、まずはご自身が給付金の支給対象となるか、是非一度お問合せください。

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