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2023.12.21

水道工事における石綿被害について

坂根 健

本稿執筆者 坂根 健(さかね けん)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

静岡県立浜松北高等学校 卒業
中央大学法学部法律学科 卒業
東京大学法科大学院 修了

皆様が抱えている悩みに真摯に向き合い、適切かつ丁寧に問題を解決することで、皆様がより良い生活を送る手助けをしたいと考えています。
どんなことでも一人で悩まず、まずはご相談下さい。
どうぞよろしくお願いいたします。

水道工事における石綿被害について

〈目次〉

第1.はじめに

第2.水道工事に関して、石綿粉じんにばく露する可能性がある職種(作業)について

第3.裁判例において認定された例

第4.利用可能性のある救済制度等



第1.はじめに

 水道工事等の業務中にアスベストにばく露したことによって、アスベスト関連疾患を発症された方については、労災補償(公務災害補償)や建設型アスベスト給付金の申請、国家賠償請求、使用者に対する損害賠償請求、建材メーカーに対する損害賠償請求といった救済方法が考えられます(詳細は後記4のとおりです。)。そして、労災補償や建設型アスベスト給付金の申請においては、労働基準監督署や厚生労働省からどのような業務に従事していたか、具体的にアスベスト被害に遭うような場面があったかについて確認する必要があります。
 そこで、本記事においては、アスベスト関連疾患について各種救済方法をご検討されている方に向けて、水道工事の作業に関して、石綿粉じんにばく露する機会があったとされている具体的な業務内容、石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材等について、実際にアスベスト被害が認定された裁判例の紹介なども踏まえながら説明します。

第2.水道工事に関して、石綿粉じんにばく露する可能性がある職種(作業)について

 水道工事に関する作業のうち、石綿粉じんにばく露する可能性のある作業内容として、水道工事、給排水管工事、給排水管検査等が挙げられます。
 特に、昭和30年代から40年代にかけて設置された水道管を中心に、施工性がよく、また安価であったことなどから、水道管として石綿セメント管(石綿セメント円筒)(セメントにアスベストを混合して製造した繊維セメントの一種である石綿セメントを用いたコンクリート製の管(円筒)のことです。強度の問題が指摘されて以降、取替が進められ、全国的な需要減により昭和60年頃には全国的に製造が中止されています。(石綿セメント円筒については、2004年頃に製造中止。))が用いられており、いずれも狭い作業スペースの中で行われていたことから、取り付け現場でセメント管切断時に石綿粉じんが飛散した可能性があると考えられています。また、切断時に石綿粉じんが飛散するという建材の性質上、水道管の設置工事における作業時だけでなく、昭和50年代以降の石綿セメント管が用いられた水道管の敷設や補修・取替え・撤去工事における作業時にも飛散する可能性があります。
 石綿セメント管の設置工事、撤去工事の他にも、上下水道の配管をつなげる設備工事、古くなった配管の点検・修理等の設備工事、ビルの点検作業の現場では水漏れ等の故障があった場合に配管を修繕する作業など、水道工事に従事する方が関わる業務の中でアスベスト被害が生じ得る作業は多岐にわたります。
 また、公営水道の敷設工事に従事した方については、屋外作業が中心と考えられ、建設型アスベスト給付金の枠組みとは異なる可能性が高いと思われますが、労災補償(公務員として業務に従事していた場合は公務災害補償)等の利用が考えられます。
 具体的な作業において、石綿粉じんにばく露した可能性があるかどうかについては弊所までご相談ください。

第3.裁判例において認定された例(水道工事における石綿ばく露について)

京都地方裁判所令和5年3月23日判決
(アスベスト被害に対する建材メーカー5社の責任を認めた判決)

(1)同判決において認定された建材、及び建材メーカーについて
  同判決では、石綿セメント円筒について、「同建材は、石綿セメントを原料とするパイプ状製品の総称であり、煙突、排気管、上下水道管・雑排水管等に用いられた」と認定し、建材メーカーの責任について、従前の裁判例における判断を踏襲する形でシェア論(建材を扱う会社(メーカー)の責任の判断に関して、建設業務に従事した方について、職種ごとに一般的な作業を認定し、その作業において使用される石綿含有建材を特定した上で、その石綿含有建材について、相当程度の市場シェアを有する建材メーカーの建材であれば、建設業務に従事した複数の現場のうち、どこかの建設現場では当該メーカーの建材を使用したと認めることができるという理論のことです。)を採用し、マーケットシェア10%を有する建材メーカーが責任を負うという基準を示した上で、石綿セメント円筒の一種である耐火パイプ(耐火被覆塩ビ管)(主にマンション、ホテル、学校等の汚水管及び雑排水管として用いられていたもの)について、A社につき、「耐火パイプは、昭和60年には17%(うち10%はG3名義で販売するOEM加工品)、昭和61年には21%(うち12%はG3名義で販売するOEM加工品)のシェアを有していたことが認められる。」と認定しています。

(2)同判決において認定された石綿ばく露状況(作業内容)
  同判決において、一部の原告の石綿ばく露状況に関して、「マンションの建設現場の配管作業時に、排水用のトミジ管(耐火被覆塩ビ管)を切断して使用する際に、石綿粉じんにばく露した。」「ボードを部分的に撤去して配管工事を行い、改めてボードを切断加工して設置することもあった。同被災者は、これらの作業によっても石綿粉じんにばく露した。」「吹付作業と並行して配管作業を行う際や、耐火被覆塩ビ管を切断加工する際に、石綿粉じんにばく露した。」と認定しています。

第4.利用可能性のある救済制度等

 上記2で説明したような水道工事に関わる作業に従事し、石綿関連疾患を発症してしまった方については、①労災制度(公務災害制度)による補償、②石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による給付のほか、③国に対する損害賠償請求、④建設アスベスト給付金制度の利用が考えられます。また、⑤使用者(又は一定の要件を満たす元請企業)に対する損害賠償請求、⑥建材メーカーに対する損害賠償請求の法的手続も考えられます。

【弁護士への相談について】

 昭和30年代、同40年代頃を中心に、水道工事の現場においては、石綿セメント管をはじめとする石綿含有の水道管等が広く使われていました。同期間に水道工事現場で働いていた経験のある方で、アスベスト関連疾患を発症してしまった方は、ぜひ一度お問い合わせください。
 従事していた作業の詳細について分からない場合であっても、お気軽に弁護士までご相談ください。どのような救済が受けられるのか一緒にご検討させていただきます。

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