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2022.08.16

配管工の石綿ばく露作業について

田畑 優介

本稿執筆者 田畑 優介(たばた ゆうすけ)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

愛知学院大学法学部 卒業
明治大学法科大学院 修了

弁護士の職務は困った立場にある方のお話に傾聴し、寄り添い、よりよい解決に向けた道しるべを提供することであると考えています。お困りごとを抱えていらっしゃる方は一度お話をお聞かせください。よりよいアドバイスができるよう誠意努力いたします。

配管工の石綿ばく露作業について

〈目次〉

第1.はじめに

第2.配管工の具体的な業務内容とアスベスト被害との関係について

 1.配管工の業務内容と石綿粉じんへのばく露の機会

 2.配管工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材

第3.救済制度等


第1.はじめに

 建設業に従事していた方の業務中における石綿ばく露被害(いわゆる「建設型アスベスト被害」)において、損害賠償請求が認められる可能性があるとされる職種のうち、「配管工」について、①どのような作業において石綿粉じんにばく露する機会があったとされているか、②配管工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材について、及び③建設型アスベスト被害における救済制度について説明します。

第2.配管工の具体的な業務内容とアスベスト被害との関係について

1.配管工の業務内容と石綿粉じんへのばく露の機会   配管工(特に水道配管工)は、新築住宅の建築やリフォーム工事の現場、ビルなどの点検・修理の作業現場等の建設現場において、上下水道の配管をつなげる設備工事、古くなった配管の点検・修理等の設備工事、ビルの点検作業の現場では水漏れ等の故障があった場合に配管を修繕する作業など行います。
 リフォーム現場の作業においては、古くなった配管の修理や設備工事を行う際に、配管に巻きつけられたアスベスト製の断熱材を剥がしたり、石綿でできた配管(これを「石綿管」といいます。)に穴を開けたりする作業があります。そのような作業では直接石綿に触れて解体・加工を行う作業も含まれ、狭い作業スペースの中で石綿粉じんが飛散することによりアスベストにばく露します。また、古いビルの点検作業の現場では、鉄骨に吹き付けられアスベスト製の断熱材がむき出しになっているケースもあり、修繕作業を行うために鉄骨に吹き付けられたアスベスト製の断熱材を剥がしたり、金具を取り付けるためにはアスベスト製の断熱材にも穴を開ける必要のある作業もあり、アスベスト製の断熱材の破損から生じる多量の石綿粉じんにばく露する原因となります。このような作業は、他の建築作業従事者が石綿含有建材を切断等する作業を行う屋内の作業場所付近で行うこともあるため、他の建築作業従事者の切断作業等により発生した石綿粉じんにばく露(間接ばく露)することも考えられます。


2.配管工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材   上記のとおり、配管工は建築現場で配管をつなげる設備工事や保守・点検等の作業、及びビルの点検・補修作業などを行う仕事であり、配管の修理点検の作業の中で石綿粉じんにばく露していたといえます。そして、石綿粉じんにばく露する原因となった石綿含有製品は主に以下のとおりです。

 ・アスベスト製品を含んだ保温材
・吹付材
・耐火被覆材
・アスベスト製の内装材
・石綿セメント円筒(石綿管)


第3.救済制度等

 上記2で説明した石綿含有建材を使用した建物内において、配管工の職務に従事していた方につきましては、①労災保険制度による補償、②石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による給付、③建設アスベスト給付金制度、④国に対する損害賠償請求訴訟、又は「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」(いわゆる「建設アスベスト給付金制度」)に基づく給付金請求、⑤使用者(又は一定の要件を満たす元請企業)に対する損害賠償請求訴訟、⑥建材メーカーに対する損害賠償請求訴訟など救済手続の利用や訴訟手続により救済を受けられる可能性があります。

【弁護士への相談について】

 現在または過去に配管工として屋内作業に従事しており、アスベストに関連する疾患に罹患してお困りの方は数多くいらっしゃるかと思います。上記ご紹介した救済制度について、そもそも自分が利用できる可能性はあるのか、どのような条件で救済が受けられるのかなど、専門家のアドバイスを受けることが有益です。また、救済を受けるにあたってどのような方法を選択し、どのように進めていくのがベストかなど、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。
 詳細の事情を把握していなかったり記憶が曖昧な場合であっても、労災や救済法に基づく申請など請求可能なお手続について一緒に検討させていただきますので、お気軽にご相談ください。

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