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2022.10.06

鉄骨工の石綿ばく露作業について

樋沢 泰治

本稿監修者 樋沢 泰治(ひざわ たいじ)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

鉄骨工の石綿ばく露作業について

〈目次〉

第1.はじめに

第2.鉄骨工の具体的な業務内容とアスベスト被害

 1.鉄骨工の業務内容と石綿粉じんばく露

 2.鉄骨工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材

第3.救済制度等 

 1.労災補償・石綿被害救済法・建設アスベスト給付金等

 2.建材メーカーに対する損害賠償請求について



第1.はじめに

 いわゆる建設型アスベスト被害において、損害賠償請求が認められる可能性があるとされる職種のうち、「鉄骨工」について、①どのような作業において石綿粉じんにばく露する機会があったとされているか、②鉄骨工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材について説明します。
 加えて、鉄骨工の業務により石綿ばく露による健康被害に遭われた方々において利用可能性のある救済制度等についても説明いたします。

第2.鉄骨工の具体的な業務内容とアスベスト被害

 1.鉄骨工の業務内容と石綿粉じんばく露   鉄骨工は、溶接、建材の切断、保温材の巻き付けなど、様々な業務を担っていました。
 石綿含有建材の切断の際には石綿粉じんが多く舞うため、石綿粉じんにばく露する機会は特に高かったと言えます。また、保温材もアスベスト含有建材のものが多く流通していたため、鉄骨工が保温材の使用の際に石綿粉じんにばく露していた可能性はありました。

 裁判例(東京高判平成30年3月14日民集75巻6号2347頁)では、鉄骨工の作業内容及び石綿ばく露作業について、次のように指摘しています。
 「鉄骨工は、新築工事の鉄骨の組立てや解体、増改築工事を行う。鉄骨工は、解体の場合、間仕切り、天井板、床板、内壁等を撤去するが、その際、過去に吹き付けられた石綿含有吹付け材による石綿粉じんに曝露することがある。鉄骨工は、屋根の梁等の鉄骨をガスバーナーで切断する際、切断部分の石綿含有吹付け材を剥がすので、その際、石綿粉じんに曝露することがある。鉄骨工は、新築工事の場合、ある程度躯体ができると、各種の建設作業従事者が建設現場に出入りするようになるため、鉄骨工は、各職種の建設作業従事者の作業により発生した石綿粉じんに曝露することがある。」

 また、別の裁判例(京都地判平成28年1月29日判タ1428号101頁)では、次のように指摘しています。
 「鉄骨工は、新築工事では、S造建物の基礎工事を終えた段階で、基礎へのアンカーボルトの設置、柱及び梁の設置を行い、柱及び梁への吹付作業後には、ブラケット(橋梁の底面板とそれを支える柱とを接着・接合・固定させる金具)や各種部品の溶接等を行い、小規模な建物の改修工事では、自ら内装材等の解体作業を行うこともある。ブラケットや部品の溶接作業は吹付作業後に行われるため、鉄鋼工は、鉄骨に付着した吹付材をヘラ等で削り取って除去する際や、改修工事で内装材等を撤去する際に、石綿粉じんに曝露した。」

 このように、鉄骨工は、建築現場の様々な場面に関与しており、その分石綿を取り扱う機会が多かったものと考えられます。


 2.鉄骨工が石綿粉じんにばく露する原因となっていた可能性がある建材   上記のとおり、鉄骨工の主な作業内容としては、以上のようなものが挙げられますが、石綿粉じんにばく露する原因となったアスベスト含有建材は多くのものが考えられ、主なものとしては以下のものが挙げられます。
  石綿含有屋根材、石綿含有ボード(外壁材・内装材)
 石綿吹きつけ材
 石綿セメントビニル管
 石綿保温材など


第3.救済制度等

 1.労災・救済法・建設アスベスト給付金等   鉄骨工の業務に従事したことによりアスベスト被害に遭われた方々につきましては、他の建設作業者と同様に、①労災制度による補償、②石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による給付、③国に対する損害賠償請求訴訟、④建設アスベスト給付金制度、⑤使用者(又は一定の要件を満たす元請企業)に対する損害賠償請求訴訟、⑥建材メーカーに対する損害賠償請求訴訟など救済手続の利用や訴訟手続をすることができる可能性があります。以下では建材メーカーに対する請求について説明いたします。

 2.建材メーカーに対する損害賠償請求について   鉄骨工として従事され石綿粉じんばく露による健康被害に遭われた方の救済方法の1つに、建材メーカーに対する損害賠償請求が考えられます。
 ただし、鉄骨工の方が扱われた建材にアスベストが含有していたことが認められたとしても、具体的にある期間や場所において、具体的にどの建材を使用していたかまで特定することは困難です。そこで、裁判所は、相当程度の市場シェアを有する建材メーカーの建材であれば、鉄骨工の方が従事した複数の現場のうち、どこかの建設現場では当該メーカーの建材を使用したと認めることができるというシェア論を採用しました(令和3年5月17日最高裁判所第一小法廷判決においてもこの考え方は維持されています。)。
 この考え方を採用することで、建材メーカーに対しても損害賠償請求の途が開かれました。

【弁護士への相談について】

 鉄骨工の方は、様々な作業内容を担っているため、具体的にどのような作業を担当されていたかは個別的な検討を要します。先に見たように、建材メーカーへの請求に当たっては、担当した現場・作業が多ければ多いほど、シェア率の高い建材メーカーに触れる機会があったと考えられるため、アスベスト被害の救済手続に際して、いつ頃にどれくらいの現場でどのような作業していたかは、重要な事情となります。特に、使用建材を特定するうえで、どのような作業を中心に行っていたかが明確ですと望ましいです。
 また、これらの事情が具体的に特定できない場合であっても、労災や救済法に基づく申請など、請求可能なお手続を一緒に検討させていただきますので、お気軽に弁護士までご相談ください。

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