~武富士事件(最判平成23年2月18日・判タ1345号115頁)を参考にして~
贈与税の住所地要件と国税との争い方
【研究裁判例:最判平成23年2月18日・判タ1345号115頁】
この裁判例は、「武富士事件」と呼ばれる事件に対する最高裁判決(以下「本最高裁判決」という。)であり、海外に滞在しながら国内企業の経営に深く関わる個人(当時の消費者金融として有名であった株式会社武富士創業者の長男。以下「X」という。)について、どのように「住所」が認定されるのかを判示した裁判例である。
また、武富士事件については結論として受贈者が最高裁まで争い国に勝訴しているところ、既に受贈者が納めていた納付金元本約1330億円に加えて、最高裁判決後に国がこれを還付する際に支払った還付加算金が約400億円と高額になった事案としても有名な事件である。
前半の住所地認定の争点もさることながら、後半の還付加算金を見据えた税務訴訟の戦い方についても本件は参考となることから、研究対象として設定したものである。