SNSの普及が後押し、法律は未整備-活発化する電子商取引

SNSの普及が後押し、法律は未整備-活発化する電子商取引

ラオスでもインターネットやモバイル端末の普及により、電子商取引(EC)が普及しつつある。中でもフェイスブックを介した宣伝・集客が注目されている。従来はクレジットカード普及率の低さがECの決済を困難にしていたが、近年のモバイルバンキング普及がこの問題を解決しつつある。

人口の15%がフェイスブックを利用
ラオスで普及しつつある電子商取引(EC)。具体的には、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じた、衣料品・化粧品・食料品の売買が活発になっており、特に活用されているSNSがフェイスブックだ。ラオスの人口670万人のうち約15%に当たる100万人が利用しているといわれる。
ECもフェイスブックを介した宣伝・集客が一般的となっており、例えば、販売したい商品を自分のフェイスブックで紹介し(専用のページを設定)、商品を見た顧客がメールや電話で注文することが多い。

ラオスでも普及しつつあるECだが、管轄する商工省や郵便通信ネットワーク省によると、ECを管理する特定の法律はなく、EC業者として登録されている企業も存在しない。
2010年6月30日付で施行された消費者保護法では、ECは対象となっていない。また、2012年12月7日付で電子処理法が施行され、(1)電子契約、(2)電子情報の受送信、(3)電子書類、(4)電子署名、(5)政府機関における電子処理について規定したが、施行細則が規定されておらず、法整備としては不十分だ。

他方で、政府がECを推進する動きもみられ、商工省は2017年8月に、中小企業のEC利用促進および輸出支援を目的としたポータルサイトを試験的に開設し、中小企業向けに情報提供を行っている。

決済方法の多様化も追い風になっている。
ラオスではクレジットカードが十分普及していないため、EC上の売買においても、消費者がオンラインで商品を注文してから販売者に会いに行き、現金で支払う場合が多かった。
しかし、近年のモバイルバンキングの急速な普及が状況を改善しつつある。

例えば、国内最大の商業銀行であるラオス外国商業銀行(BCEL)は、2013年にオンライン決済用モバイルアプリケーションを導入した。
これにより、同銀行グループ間の送金は、少額であれば無料でできるようになった。また、同銀行は2017年末にQRコードによる決済サービスも始めた(注)。都市部の富裕層・中間層を中心に利用者が増加しているという。

さらにラオス外国商業銀行は、銀行口座を持たない者同士でも、携帯電話を利用して送金ができるシステムを国内の一部地域に試験導入しており、今後は全土に展開する方針だ。
このように、各種のオンライン送金サービスが充実することで、ECが今後は農村地域にも拡大する可能性がある。

(注)QRコード:カメラ付きスマートフォンなどで読み取れるバーコードの一種。バーコードは横方向にしか情報を持たないのに対し、QRコードは縦横に情報を持つため、情報量が多い。