ラオスにおける投資の奨励

 ラオスは、国内外の投資を促進するために、投資奨励法その他関連法令に諸税上及び土地利用に関する様々な優遇措置を設けている。以下、投資に対する主な優遇措置及びその条件についてまとめたものである。

奨励対象業種
 下記の業種への投資は優遇措置を受けることができる。
1.高度・最先端技術活用事業、科学技術研究事業、研究開発事業、革新技術活用事業、環境にやさしい事業、省資源・省エネルギー事業
2.クリーン・無農薬農業、育種、家畜品種改良事業、工芸作物栽培事業、森林開発事業、環境・生物多様性の保全事業、地方開発・貧困削減促進事業
3.環境にやさしい農産品加工業、国家の伝統・独特な工芸品加工業
4.環境にやさしく、かつ持続可能な自然・文化・歴史観光開発事業
5.教育事業、スポーツ・曲芸事業、人再開発や職業開発事業、職業訓練所、教育・スポーツ用品製造業
6.先進な医療機関、医薬品及び医療機器の製造工場、伝統的薬品の製造と治療に関する事業
7.都市の交通渋滞緩和及び居住地域整備のための公共サービスやインフラ開発への投資、農業・工業用インフラ建設、貨物運送サービス、ロジスティクス
8.銀行へのアクセスがない人々やコミュニティの貧困解決のための政策銀行、マイクロファイナンス機関
9.国産品及び世界の有名なブランドを促進する近代的なショッピングモール、国産の工業品・手工芸品・農産品の展示場
 上記の奨励対象業種への投資について、優遇措置を受けられる条件として投資総額が12億キープ(約1500万円)以上、もしくはラオス技術者を30人以上、もしくは労働契約期間が1年以上でラオス人労働者を50人以上雇用しなければならない。
上記の資金または雇用の要件を満たさない中小企業の場合、別途の関連法令に定められる優遇措置を受けられる。
奨励対象業種の詳細リストは政府が定めることであるが、未完成のため、現在は投資案件ごとに判断されることになる。

地区別の優遇措置
 上記の奨励対象業種への投資は、投資する場所によって受けられる優遇措置が異なる。投資奨励法では下記の通り3つの地区に区分している。
第1地区:貧困地域、遠隔地、社会・経済インフラが投資にとって利便性の低い地域
第2地区:社会・経済インフラが投資にとって利便性の高い地域
第3地区:経済特区

法人税に関する優遇
 上記の奨励対象業種への投資は、その投資地区により下記の通り法人税の優遇措置を受けることができる。
第1地区:10年間の免税。また、上記の奨励対象業種の2、3、5、6の場合はさらに5年間の免税機関が追加される。
第2地区:4年間の免税。また、上記の奨励対象業種の2、3、5、6の場合はさらに3年間の免税機関が追加される。法人税の免税機関は、企業が事業売上を出した年から起算する。また、上記の免税期間が満了したら、その法人税は税法の定めに従う。
第3地区:経済特区に関する法令に従う。コンセッション事業については、関連の法令または契約内容に従う。

関税その他各種の税に関する優遇
 ラオスにおける投資は、上記の法人税に関する優遇の他に、以下の関税及びその他各種の税に関する優遇を受けることができる。
1)ラオス国内で調達または生産することができない固定資産となる機器及び生産に直接使用される重機車両等について、関税及び付加価値税(VAT)が免除される。なお、化石燃料、ガス、潤滑油、自動車及びその他の機器については関連法に従う。
重機の一時的輸入については関税法に従う。
2)輸出のための生産に使用する原料、鉱物、機器、部品の輸入は、輸入関税及び付加価値税が免除される。なお、当該生産品を輸出しなかった場合は関連法に従い関税その他各種の税金を徴収する。
3)輸出のための完成品または半完成品を生産するための国内の原料、機器や部品の使用について、付加価値税が免除される。
 鉱物由来の原料または製品の輸出については関連法に従う。

投資の拡大に関する優遇
 純利益を事業の追加または拡大のために投資する場合、全純利益からその投資した分の比率に応じて、次年度の法人税が1年間免除される。また、投資金の追加による事業の拡大の場合は投資奨励法に定める優遇措置が付与される。

損失の繰越について
 事業が赤字決算した場合、税務当局の正式な承認があることを条件として、損失を翌3年間を上限に繰越して利益と相殺することができる。

コンセッション事業に対する優遇
1.コンセッション料の免除
 前述の奨励対象業種に投資した投資者は、前述の地区分類規定に従い、下記の通りコンセッション料が免除される。
第1地区:10年間の免除。前述の奨励対象業種の2、3、5、6に該当する事業の場合はさらに5年間の免税期間が追加される
第2地区:5年間の免除。前述の奨励対象業種の2、3、5、6に該当する事業の場合はさらに3年間の免税期間が追加される
第3地区:関連の個別法令に従う

2.土地利用に関する優遇
 投資者は、投資している事業を行うために政府から借地、またはコンセッションの権利を取得することができる。また、政府から承認された当該投資案件の開発基本計画、FSまたは事業実行計画の45%以上の事業を遂行し、かつコンセッション契約に定められた税務上の義務を履行し、かつ管轄の当局から承認を受けたことを条件に、コンセッション契約の残期を上限として当該コンセッション権利を譲渡することができる。
 投資者は、県・都役所の承認を得ることが条件として、投資期間内に限り、事務所及び住居所を建設するために、コンセッションエリア外の政府用地を借用またコンセッションにより使用することができる。

参照:
- ラオス投資奨励法(No. 14/NA, dated 17/11/2016)
- 企業の輸入計画における関税及び付加価値税上の投資優遇に関する中央投資奨励管理委員会ガイドライン(No. 01/CCIPM, dated 02/01/2019)
- 2016年改正版の投資奨励法第12条に改正に関する法律(No. 80/NA, dated 04/12/2019)