証券の発行に関するラオス証券法の規定

 第21号/NAのラオスの証券法は2012年12月10日に成立し、2013年1月17日から施行された。証券関連活動の監督、監視、監査に関する原則、規則、措置等を定めたものである。
 ラオス証券法でいう証券とは金融商品のことで、株式、社債、公債及び証券監督委員会がその他の書類の証券が含まれる。

 以下、証券の発行に関する規定である。

1.証券の発行
証券の発行とは、下記の何れかの目的のために、会社の証券を投資家に発効することである。

 1.事業拡大のための増資又は資金調達
 2.株主構成の再編
 3.配当又は賞与としての株式配当
 4.証券監督委員会の決定に基づくその他の目的

 証券の発行は証券監督委員会の許可を取得しなければならない。

2.証券の発行の方式
証券の発行は下記の三つの形式がある。

 1.公募発行
 2.私募発行
 3.株主割当

 公募発行とは、マスコミを通じて広く宣伝し投資家の種類又はグループを特定せず、100以上の投資者に対しなされた新規又はそれ以降の証券の発行である。
 私募発行とは、30から100の戦力的な投資者、機関又は個人の投資家に対する証券の発行である。私募発行における発行価額、発行回数及び投資家数は証券監督委員会の決定に従わなければならない。
 株主割当とは、現株主が優先的に買える証券の発行である。その比率及び割当方法は株主会の決議に従う。

3.証券の発行要件
株式の発行を希望する会社は以下の要件を満たさなければならない。

 1.公開会社であること
 2.取締役会が三分の一以上の独立取締役から構成されていること、及び内部監査委員会が設置されていること
 3.株主会の議決により承認された資金使用計画があること
 4.財務諸表が監査会社から監査されたこと
 5.利益を生み出せること、財務状況が安定していること、及び債務の弁済が可能であること
 6.株式の発行の準備が整っていることについて証券会社から保証されていること
 7.法令に定められているその他の要件を満たしていること

社債の発行を希望する会社は以下の要件を満たさなければならない。

 1.法に従って設立した会社であること
 2.資金使用計画があること
 3.財務諸表が監査会社から監査されたこと
 4.社債保有者の利益が保管銀行により監督・保護されていること
 5.社債の現存高が純資産価値の三分の一未満であること
 6.過去三年間の平均年間利益で翌年の社債利息を充分に変換できること
 7.追加発行の場合、過去に発行した社債を返還期限内に元金及びその利息を返還する能力があること

 証券監督委員会は、株式や社債以外の証券の発効、政府が推進している分野の事業を行う新設会社の証券発効、外国における証券の発行、並びにラオス国内における外国企業の証券の発行についても、その要件を定める権限を有する。

4.証券の発行の申請書類
証券の発行を希望する会社は証券監督委員会に申請書類を提出しなければならない。

 申請書類は以下の通りである。

 1.申請書(証券監督委員会の様式あり)
 2.企業登記簿又はコンセッション事業登記簿のコピー
 3.納税者証明書コピー
 4.会社定款
 5.証券の発行について承認している株主会の議事録
 6.株式を1%以上保有している株主の名簿
 7.発行の準備が整っていることについて、株式発行の場合は証券会社からの証明書、社債発行の場合は商業銀行からの証明書
 8.資産評価報告書(社債発行の場合)
 9.財務諸表
 10.目論見書
 11.証券発行に関する証券会社との担保契約
 12.その他の関連書類
   証券を発行する会社、証券仲介業者、及びその他、証券発行の申請書類の準備に関与した機関は当該書類に記載された内容や情報について責任を取らなけ
   ればならない。

5.財務諸表

 証券の発行を申請する会社の財務諸表には、バランスシート、損益計算書、キャッシュフロー計算書、資金変動計算書、使用している会計原則や会計基準
の説明書などが含まれる。
 財務諸表は、証券監督委員会が認めた監査会社により監査を受けなければならない。
 証券の発行を申請する会社がグループ会社の場合、財務諸表は単独財務情報及び連結財務情報を示さなければならない。

6.目論見書
目論見書には以下の主要内容を含めなければならない。

 1.会社情報、事業の情報、事業リスクに関する情報
 2.取締役会、監査役、執行役に関する情報
 3.売出方法、売出数、額面価格、売出価格、売出期間、応募方法、割当方法、譲渡要件など、発行証券に関する情報
 4.社債発行の場合は満期時の利息及び償還計画
 5.当該証券の発行について関与している監査会社、法律事務所、証券会社その他関係機関の名称及び住所
 6.調達資金の使用計画及び将来の企画
 7.役員の名簿
 8.法的紛争及びその関連の取引
 9.監査会社より確認された証券発行会社の財務状況の情報

7.証券発行に関する担保契約

 証券発行会社は私募発行の場合を除く、発行する毎に証券会社と担保契約を締結しなければならない。
複数の証券会社が証券発行について共同して担保している場合は、何れかを代表にして証券発行会社と担保契約を締結しなければならない。

8.証券発行計画に関する情報公開

 証券発行会社は証券監督委員会への証券発行申請書類等の提出後、申請書類等に記載した内容の通りの証券発行に関する情報を公開することができる。

9.証券発行申請の審査

 証券監督委員会は証券発行申請書類の受理後、45日以内に審査を完了させなければならない。拒絶の場合においてもその理由とともに書面で通知しなければならない。
 証券監督委員会は証券発行申請書類の審査において、必要に応じて、監査会社による監査証明書を含む補充書類の提出を求めることや、証券発行会社や証券会社及びその他の関係機関の協議のための出所、並びに調査などを行うことができる。

10.証券売出のプロセス
証券の売出は以下のプロセスに従って行う。

 1.証券の売出の許可を公告する
 2.売出価格を決定する
 3.証券の売出についてマスコミを通じて広告する
 4.証券を購入予約し、予約金を納める
 5.証券を割当てる
 6.代金を支払う。予約の通りに割当てられなかった場合は予約金を返還する
 7.証券保有証明書を発行する

 証券の売出はその許可を取得した日から90日以内に完了させなければならない。この期間内に完了できなかった場合、証券発行会社は30日間を上限に、売出期間の延長を証券監督委員会に申し立てることができる。
 証券の予約を希望する外国投資家は、証券監督委員会が定めた及び条件に従わなければならない。

11.証券売出の結果の報告

 証券発行会社は売出が完了してから5営業日以内に売出の結果を証券監督委員会に報告しなければならない。
 証券監督委員会は売出結果報告を受けてから5営業日以内に証券売出結果を確認しなければならない。証券発行会社は証券監督委員会の確認を根拠に増資登
録してから、証券の発行から得られた資金を活用することができる。
 売られた証券が売り出した分の8割を下回った場合は売出が不成功と見なされるため、売出結果の確認を受けてから5営業日以内に投資家に代金を返却しなけれ
ばならない。

12.証券の売出の停止及び中止

 誤りのある情報の提供、または上記の10の証券売出のプロセスに従わず、投資家に損害を与える恐れがある場合、証券監督委員会は証券の売出を停止させる
ことができる。
 証券発行会社が上述の状況を解決できない場合、証券監督委員会は証券の売出を中止させることができる。

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【ラオス証言取引所の概要】
ラオス証券取引所(LSX)は、第 6 期経済社会発展 5 ヶ年計画の一環として設立された。
ラオス国銀行(中央銀行)が51%、韓国取引所(KRX)が49%の株主構成で、資本金が 2000 万ドルである。
正式オープンの数か月後には、ラオス電力公社の子会社である EDLGENERATION PUBLIC COMPANY、及びラオス政府系銀行である BANQUE POUR LE
COMMERCE EXTERIEUR LAO PUBLIC の 2 社がラオス初の上場企業として上場した。現在はその 2 社を含めて合計 11 社が上場している。