ラオスにおける電気車両の促進
ラオスにおける電気車両の促進
ラオスでは、公共交通機関がバスのみで、利用できる範囲は限定的であるため、一般的な交通手段はバイクや自動車である。経済発展につれて、バイクや乗用車数は年々増加し、2019年の統計としてバイクが160万台以上、乗用車が50万台近く登録されているが、そのほとんどはガソリン・ディーゼル車である。石油資源を持っていないラオスは輸入に完全に依存し、それが貿易赤字、外貨不足の大きな原因となっている。
一方、ラオスは水力発電により電力が豊富であり、電気車両の使用に有利な環境であるが、電気車両の導入はまだ試験的なもので、普及率が低い。その原因は、政府による電気車両使用の促進政策が明白に実施されなかったため、市中の充電ステーションや電気車両の整備工場の設置も進まないことが考えられる。
そこで、ラオス政府は、石油輸入や外貨流出を減らし、石油車両の使用による環境汚染を削減するために、電気車両の使用促進に関する明白な政策を発表し、その証人及び実施の決議が今年10月4日に交付された(ラオス人民民主共和国における電気車両使用の促進政策の承認及び実行に関する決議第08号/政府)。以下、当該の決議のまとめである。
1.目標
-2025年までに電気車両の使用率が全車両数の1%以上に達すること。
-2030年までに電気車両の使用率が全車両数の30%以上に達すること。
2.電気車両の輸入・販売業者に対する優遇措置
・電気車両の輸入及び販売を促進するために、投資奨励法、関税法、租税管理法、その他の法令に定められている優遇措置の実施に同意する。
・市場競争を促進するために、電気車両の輸入量を制限しない。
・環境負担・社会負担を減らすために、ラオスに輸入・販売する電気車両は国際的な品質基準、安全基準を満たし、
そのアフターサービスセンターや整備工場を設置し、劣化したバッテリー及び電気車両事業からできたその他の廃棄物の処理システムを
用意しなければならない。
・石油車両と電気車両を判別しやすいために、電気車両専用のナンバープレート又はマークの使用に同意する。
3.電気車両の生産・組立業者に対する優遇措置
・政府は、国内供給や輸出のための部品の生産事業及び電気車両組立事業に投資する国内外の個人及び法人に対し、投資奨励法、関税法、
租税管理法その他の関連法令に基づき、輸入関税、利潤税、政府からの借地料について適切な優遇措置を設ける。
4.電気車両関連のサービス業者に対する優遇
・政府は、電気車両の充電ステーション事業に投資する国内外の個人及び法人に対し、以下の優遇措置により促進する。
(1)充電ステーション関連部品及びシステム輸入関税を免税又は減税する。
(2)利用者が初期投資を回収できるよう、電気車両の充電ステーションにおける電気料金を適切に設定する。
(3)全国における市内部、郊外部及び国道のあらゆる場所における充電ステーションの設置に対し便宜を図る。
(4)ガソリンスタンド事業者に対し電気車両の充電ステーションを徐々に設置するよう勧める。
・政府は電気車両の充電ステーションに対し、電気料金に関する優遇を次のように設ける。
(1)電気車両の充電ステーション事業者の支出項目、すなわち、国道整備費用(国道基金)、エネルギー促進開発基金、
交流・直流電源システムに関わる事業者のコスト及び運営費、及び付加価値税について、適切に設定する。
(2)電気車両の充電ステーション事業者への売電価格は季節別価格(雨季における電気料金を乾季より安く)を設定するよう、ラオス電力公社に命じる。
・政府は個人及び法人に対し、電気車両の部品交換サービスセンターへの投資を促進する。なお、当該事業者は電気車両の部品交換による廃棄物、
特に劣化したバッテリーを法令に従って適切に処理しなければならない。
5.電気車両の使用者に対する優遇
・技術的な安全性を確保するために、住宅やオフィスにおける電気車両充電器用の電機システムの設置についてラオス電力公社が行い、
その際は電機メーターの使用料を無料にする。
・同等なパワーを持っている場合、電気車両は石油車両よりその年間の道路税を30%以上安く設定する。
・公共場所の駐車場及び充電ステーションにおいて、電気車両専用の駐車エリアを設置する。
6.パイロット期間における電気車両の使用目標
・電気車両の使用について、政府はまず先頭に立って模範的に使用し、今後購入する公用車はすべて電気車両にしなければならない。
その後、国営企業や公共交通機関に対し電気車両への転換を促進する。
・党組織、民間企業及び一般の人々に対し徐々に電気車両への転換を促進する。
出典:
- 公共事業・運輸省登録車両数統計
- ラオス人民民主共和国における電気車両使用の促進政策の承認及び実行に関する決議第08号/政府