ラオスの最低賃金に引き上げについて

ラオスの最低賃金に引き上げについて

 

ラオス首相府は6月13日、労働・社会福祉省からの最低賃金の引き上げの要請に合意した(首相府通知第829号)。今回の改正は、2018年5月1日から施行されてきた最低賃金額の月1,100,000キープから、今年8月1日からは1,200,000キープへ、そして来年5月1日からは1,300,000キープへと、段階的な引き上げとなる。

以下、2022年6月13日付、第829号の「労働者の最低賃金の改正に関する指示」に関する首相府通知の内容である。

 

(略)

ラオス首相府は、次の通り、首相の決定及び指示を通知する

「労働・社会福祉省の要請に対し、下記のように合意する:

1.労働者の最低賃金を1,100,000キープから1,300,000キープに引き上げること。なお、第1回目には、2022年8月1日から100,000キープを引き上げ、また、第2回目には2023年5月1日からさらに100,000キープ引き上げるものとする。

2.労働者又はその代表者が個人若しくは団体の契約の締結、並びに賃金や関連の福利厚生について(使用者と)交渉を行うよう、関連機関と調整して促進することについて、労働組合連盟に対し指示する。

3.労働者の給与を最低賃金額で設定するのはそれに適した労働者に対してのみ行うこと、経験や専門性のある労働者に対しては最低賃金より高い金額を支払うこと、また、法律に従い労働者に社会保障制度に加入させること、また、法律の定めにより労働者に年次健康診断を受診させることについて、使用者に指示する。

(略)

なお、これまでの最低賃金の適用について、下記、ご参照ください。

下記の2に定める労働で、1に定める条件を満たす労働者に対して、最低賃金が適用される。

 

1 最低賃金とは、月 26 日以下、週 6 日以下、及び日 8 時間以下で 働く労働者に対して使用者が支払わなければならない最低の給与又は労賃である。ただし、残業代、一時金、通勤手当、食事手当、宿泊手当、送迎費やその他の事業体の福利厚生は含まれないものとする。

2 最低賃金は、生産業、ビジネスもしくはサービス業に従事する技術の無い、未熟練、専門資格を持っていない社会経済全体の労働者、インフォーマルセクター労働者や家庭内の勤務者が対象となる。ただし、別途規則のある外国機関の労働者は対象外である。

また、上記の2以外の労働者について、以下のように定められている。

  • 技術のある労働者、熟練者、もしくは一定期間の労働経験のある労働者で、労働経験証明書を持つ者、又は専門資格をもつ者、又は当該事業体において労働法が定める試用期間を含めて満9 ヶ月労働した者については、最低賃金を上回る給与または労賃をもらえなければならない。
  • 使用者は、毒物、化学薬品を扱う業務、放射線、伝染病にさらされる業務、臭気、煙のある環境での労働、穴や地下トンネル内、水中、高所での労働、酷寒猛暑な場所での労働、恒常的に振動する道具を扱う労働、遠隔地、食事や宿泊が困難な場所での勤務など、健康に危険のある業務又は生活に困難な業務に従事する労働者に対し、上記の最低賃金に15%以上を上乗せした額を支払わなければならない。

以上

 

(注)

為替レート:USD 1 = LAK 14,807 , JPY 1 = 108.8 LAK(2022年6月30日現在)

(出典)

  • 2022年6月13日付、第829号の「労働者の最低賃金の改正に関する指示」に関する首相府通知
  • 2018年4月25日付、第1121号の最低賃金の改正に関する労働社会福祉の通達