ラオスにおける 駐在員事務所の設立について

1.駐在員事務所の目的及び種類
 ラオスへの進出の形式の一つとして、駐在員事務所の設立が可能である。駐在員事務所は親会社を代理して、ラオスにおける投資やビジネスの情報の調査や、政府や民間の組織と連絡調整等を行うことができ、更にコンセッション事業に関する親会社とラオス政府とのMOUまたは契約の実施状況のフォローを行こなうことができる。
 ラオスにおける駐在員事務所は2種類に分類される:
第一類:ラオスでの投資の判断材料となる様々なビジネス事情の調査や、政府又は民間組織との連絡調整等を行うための駐在員事務所。
第二類:コンセッション事業(のみ)について、ラオス政府と親会社とのMOUまたは契約をフォローし、政府や民間との連絡調整をするための駐在員事務所。この種類の駐在員事務所はラオス政府と親会社とのMOUまたは契約の内容の範囲内で活動しなければならない。
 いかなる種類の駐在員事務所でも、収入や利益を生む事業活動が禁止される。

2.駐在員事務所の設立申請書類
 外国法人がラオスにおいてその駐在員事務所を設立するには、計画投資省投資奨励局投資ワンストップサービス室にて次の書類を提出しなければならない。
1.駐在員事務所設立申請書(所定の様式あり)
2.設立する駐在員事務所の定款
3.ラオスにおける駐在員事務所の設立に関する親会社の要望書または決定書
4.親会社からの、設立する駐在員事務所の代表者任命書、とそのパスポートのコピーと履歴書
5.親会社の法人資格を証明する書類のコピー
6.親会社の事業歴と財務状況を証明する書類
7.その他必要な書類
 各書類は、翻訳業営業許可を有する翻訳会社によるラオス語の翻訳版が必要である。
 その他必要な書類として、親会社の定款のコピー、設立する駐在員事務所の従業員リスト、固定資産表などがよく求められる。

3.駐在員事務所の設立が認められる条件
 外国の法人がラオスで駐在員事務所を設立するには、以下の条件を満たさなければならない。
1.何れかの国の法制度の下で法人登録し、かつ授業経営が安定しているか、法人設立してから2年以上が経過したこと。
2.法人の形態が株式会社(Company Limited)、株主が一人の株式会社(Sole Company Limited)、国営企業、または上場企業であること。
3.ラオスにおける駐在員事務所の設立について、親会社からの決定、または親会社の承認を証明する書類があること。
4.ラオスで既に駐在員事務所を設立したことがある法人の場合は、前の駐在員事務所を閉鎖させてから3年以上経過したこと。
5.設立する駐在員事務所の活動内容が明白でありこと。
6.設立する駐在員事務所の登録資金が5万ドル以上であること。
7.設立する駐在員事務所の代表者は、親会社から任命された者であること。

4.駐在員事務所の設立の審査
 駐在員事務所の設立は、以下の流れで審査される。
- 駐在員事務所の設立申請書類を計画投資省投資奨励局投資ワンストップサービス室に提出する。
- ワンストップサービス室は申請書類を受理してから3営業日以内に他の関連省庁宛に設立申請に関する意見の要請書を発行する。
- 要請書を受けた省庁は、7営業日以内に返答する。
- 返答を受けた投資奨励局はそれを参考に審査し、5営業日以内に設立の許可また不許可を決定する。
- 駐在員事務所の設立が許可される場合は、計画投資省から、投資奨励局長の署名入りの設立許可証が発行される。設立許可証には、以下の内容が記載される:
 駐在員事務所の設立許可証の番号
 駐在員事務所の名称(本社の名称と適合すること)
 駐在員事務所の所在地情報
 活動目的
 登録資金
 許可証の期限

5.駐在員事務所の権利及び義務
 駐在員事務所は以下の権利がある:
 中央・地方の諸機関との調整や、投資の可能性に関する調査や情報収集を行い、親会社やその支社、関連会社のコンサルタント役、調整役を行うこと。または、親会社とラオス政府とのMOUまたは契約に従い、政府や民間組織と調整すること。(設立した駐在員事務所の種類による)
 設立許可証に記載された活動目的に従い、投資やビジネス情報、親会社がラオス政府と締結したMOUに従って進めているプロジェクトの進捗情報等を親会社に報告すること。
 ラオス人または外国人の従業員を雇用すること。なお、従業員の雇用はラオス人を優先し、外国人の従業員は2人までとする。
 ラオスの法令に基づきその他の保護、促進の優遇を受けること。
  駐在員事務所は以下の義務を負う:
  設立の許可を受けてから60営業日以内に登録資金を払い込むこと。
  設立の許可を受けてから60日以内に事務所を構え、かつ看板を出すこと。
  駐在員事務所が設立したこのについてマスコミに広告を出すこと。
  駐在員事務の名義でラオス国内の商業銀行で口座を開設すること。
  ラオスの法令に従って、財務関連の義務を履行すること。
  所定の様式に従って、6か月及び年間の活動報告書を計画投資省投資奨励局に提出すること。
  駐在員事務所の組織構成、登録資金、定款内容、または活動目的について変更がある場合、30日以内に計画投資省に申請し、承認を得ること。

6.駐在員事務所の許可証の期限
第一類の場合:
 期限は1年間であり、延長は各回に1年間まで、最大3回までできる。それ以以降も延長を希望する場合、親会社から投資ワンストップ室に申請し、中央投資奨励管理委員会の審査を受けることになり、申請が認められれば、毎年更新で3年間まで延長することができる。それ以降も繰り返し申請することができる。
 親会社のラオスでの投資が許可され、法人が設立されたら、駐在員事務所はその活動を中止し、事務所の閉鎖について投資ワンストップサービス室に連絡しなければならない。

第二類の場合:
 活動期限は1年間であり、親会社とラオス政府のMOUまたは契約の有効期間の限り、1年ごとに延長を申請することができる。親会社とラオス政府のMOUまたは契約が終了したら、駐在員事務所もその活動を中止し、事務所の閉鎖について投資ワンストップサービス室に連絡しなければならない。

7.駐在員事務所の許可証の期限の延長
 駐在員事務所の許可証の延長を申請する際は、以下の書類を提出しなければならない。
1.期限延長の申請書
2.駐在員事務所の期限の延長に関する親会社の同意を示す書類
3.現在の駐在員事務所の許可証原本
4.納税証明書のコピー
5.ラオス中央銀行発行の登録資金払込証明書
6.年間の活動報告書及び今後の活動計画書
7.その他必要な書類
 申請書等は期限満了の30日前までに提出しなければならない。

8.駐在員事務所の閉鎖
 駐在員事務所を閉鎖する場合、閉鎖する日から10営業日以内に許可証原本を投資奨励局に返却しなければならない。

9.禁止事項及び違反行為に対する措置
 駐在員事務所は以下の行為が禁止される。
1.収入や利益を生む事業活動。
2.商品やサービスのいかなる形態販売広告宣伝活動。
3.他人への許可証の貸し出しや、許可証の訂正、改ざん等。
4.領収証、請求書の発行。
5.法令が禁止しているその他の行為
 違反行為をした駐在員事務所に対し、以下のペナルティが課される。
 1.30日以内に改善するよう、書面による忠告を受ける。
 2.忠告を受けたにもかかわらず、理由なく改善しない場合、投資奨励局は駐在員事務所の活動の一時停止命令を発行し、及び/又は罰金を科すことができる。
 3.上記の忠告及び一時停止命令を受けたにもかかわらず、合理的な理由がなく従わない場合は駐在員事務所の設立許可証が取り消される。
  禁止事項を違反し、かつ改善の忠告に従わない駐在員事務所は、以下の罰金が科される。
   収入や利益を生む事業活動が発覚した場合は5000ドルの罰金。
   商品やサービスのいかなる形態販売広告宣伝活動が発覚した場合は5000ドルの罰金。
   許可証の訂正、改ざん等が発覚した場合は3000ドルの罰金。
   他人への許可証の貸し出しが発覚した場合は2000ドルの罰金。
   領収証や請求書の発行が発覚した場合は1000ドルの罰金。
 2回目の違反行為の場合は、罰金が2倍になり、また、3回目の場合は罰金が3倍になるほかに、無条件で駐在員事務所の閉鎖命令を受け、かつ当該の親会社はそれ以降ラオスにおいて駐在員事務所を設立することができなくなる。

以上

参照:
– ラオス投資奨励法 No. 14/NA, Dated: 17 Nov 2016.
– ラオスにおける外国法人の駐在員事務所の設立及び管理に関する計画投資省決定 No. 1815/MPI dated 30 Jul 2018.