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健康診断の種類と実施後の対応

・どのような場合に労働者に対して健康診断を受けさせなければならないでしょうか。

・労働者に健康診断を受けてもらった後の対応はどうすればよいでしょうか。


・労働安全衛生法に基づいて事業者に実施が義務付けられている健康診断は、雇入れ時の健康診断、雇入れ後の定期健康診断(原則1年に1回、特定の業務については半年に1回)、海外派遣労働者の派遣時・帰国時の健康診断、給食労働者の検便、一定の有害業務に従事する労働者の健康診断等があります。

・健康診断を実施した後は、その結果を記録の上、労働者や労基署に報告するほか、必要に応じて医師の意見を聴取したり、就業環境を見直したりする必要があります。


稲元 祥子

本稿執筆者稲元 祥子 (いなもと しょうこ)
法律事務所 ASCOPE所属弁護士

  • 【ポイント】

  • ❶事業者には労働者の健康診断を実施する義務があり、労働者にはその健康診断を受診する義務があります。事業者が健康診断の実施義務等に反した場合、罰金の対象となります。

  • ❷事業者が実施すべき健康診断には、一般健康診断(雇入れ時・雇入れ後の定期健康診断等)と、有害業務に従事する労働者の健康診断に大別され、それぞれ対象者・検査項目・検査時期が法律で決められています。

  • ❸健康診断実施後は、異常の所見が見られた労働者について、医師の意見を聴取したうえで、必要に応じて就業環境を見直す必要があります。

〈目次〉
1.健康診断の実施・受診義務
2.健康診断の種類
3.「常時使用する労働者」の意味
4.健康診断実施後の対応
5.義務違反時の罰則




1.健康診断の実施・受診義務
 事業者は、労働者の健康状態を把握し、就業可能な状況か否かの判断、適切な配置及び健康管理を行うため、労働安全衛生法(以下「安衛法」といいます。また、労働安全衛生規則を「安衛則」、労働安全衛生法施行令を「安衛令」といいます。)第66条に基づき、労働者に対して健康診断を実施する義務を負います。
 また、労働者も、健康診断を受診する義務を負っています。ただし、労働者は、事業者が指定する医師以外の医師の健康診断を受けて、その結果の証明書を提出することも可能です(安衛法第66条第5項)。



2.健康診断の種類
 安衛法に基づき事業者に実施が義務付けられている健康診断の種類等は以下のとおりです。


一般健康診断
雇入時健康診断
(安衛則第43条)
【対象】常時使用する労働者
【時期】雇入れの際
【検査項目】定期健康診断の検査項目のうち、④の喀痰検査を除くすべて
※3か月以内に医師による診断を受けており、その結果を証明する書面を提出すれば、その項目についての健康診断を省略可能。
定期健康診断
(安衛則第44条)
【対象】常時使用する労働者(特定業務従事者を除く。)
【時期】1年以内ごとに1回定期に(※「定期」とは、「事業場ごとに決めた毎年一定の時期」という意味。昭和23年1月16日基発83。)
【検査項目】(一定の場合には、一部の項目を省略可能)

①既往歴及び業務歴の調査

②自覚症状及び他覚症状の有無の検査

③身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査

④胸部エックス線検査及び喀痰検査

⑤血圧の測定

⑥貧血検査

⑦肝機能検査

⑧血中脂質検査

⑨血糖検査

⑩尿検査

⑪心電図検査

特定業務従事者の健康診断
(安衛則第45条)
【対象】安衛則第13条1項3号に規定される業務(多量の高熱物体を取り扱う業務、有害放射線にさらされる業務、深夜業を営む業務、有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務等)に常時従事する労働者
【時期】上記業務への配置換えの際・その後は6か月以内ごとに1回定期に
【検査項目】定期健康診断項目と同様の項目(ただし、④については1年以内ごとに1回の検査で足りる。また、⑥⑦⑧⑨⑪は、医師が必要ではないと認めた場合には1年に1回に省略可能。)。
海外派遣労働者の健康診断
(安衛則第45条の2)
【対象】海外に6か月以上派遣される労働者
【時期】派遣前・帰国後国内業務に就かせる際
【検査項目】定期健康診断項目と同様の項目(ただし、一定の条件を満たした場合には、一部の項目を省略可能。)及び以下のうち医師が必要であると認める項目

・腹部画像検査(胃部エックス線検査、腹部超音波検査)

・血液中の尿酸の量の検査

・B型肝炎ウイルス抗体検査

・ABO式及びRh式野血液型検査(派遣前のみ)

・糞便塗抹検査(帰国時のみ)

給食従業員の検便
(安衛則第47条)
【対象】事業に附属する食堂又は炊事場における給食業務に従事する労働者
【時期】雇入れの際・上記業務への配置換えの際

その他の健康診断
特殊健康診断
(安衛法第66条2項、安衛令第22条1項・2項)
【対象】一定の有害業務(高圧室内作業や放射線業務、特定化学物質・石綿を取り扱う業務等)に常時従事する労働者・一定の有害業務(有害な化学物質や石綿等を製造し又は取り扱う業務)に過去に従事させたことのある労働者で現に使用している労働者
【時期】原則として、雇入れの際・当該業務への配置換えの際・当該業務についた後6月以内ごとに1回定期に(取り扱う物質等によって例外あり)
じん肺健康診断
(じん肺法第3条、第7条~第10条)
【対象】粉じん作業に常時従事する労働者及び従事したことのある管理2又は管理3の労働者
【時期】管理区分に応じて1~3年以内ごとに1回
有害業務に従事する労働者の歯科医師による健康診断
(安衛法第66条3項、安衛則第48条)
【対象】塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時従事する労働者
【時期】雇入れの際・当該業務への配置換えの際・当該業務についた後6月以内ごとに1回定期に


3.「常時使用する労働者」の意味
雇入時健康診断や定期健康診断の対象となる「常時使用する労働者」とは、以下の①②の要件をいずれも満たす労働者を指します。

①期間の定めのない労働契約により使用される労働者

   または
 期間の定めのある労働者で、

  ・契約期間が1年以上である者

  ・1年以上使用されることが予定されている者

  ・1年以上引き続き使用されている者


②1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上である者(ただし、おおむね2分の1以上である者に対しても、一般健康診断を実施することが望ましい。)
(平成26年7月24日・基発0724第2号、職発0724第5号、能発0724第1号、雇児発0724第1号参照。)



4.健康診断実施後の対応
① 健康診断結果の確認
 健康診断の結果が出たら、まずは労働者ごとに問題がないか確認を行います。事業者が健康診断実施義務を負っている反面、労働者も健康診断を受診する義務を負っているため、診断結果を事業者が取得することについて労働者の同意は不要と解されます(下井隆史ほか編著「企業のための労働契約の法律相談」青林書院、2011年、362頁)。ただし、入社時や健康診断の実施時等に、労働者に対してその旨を説明しておいた方が、不要なトラブルは避けられるでしょう。
 また、法律上規定されている健康診断の項目(安衛則第44条1項)以外の項目も検査を行う際には、それらの項目について検査結果の取得を試みることは原則として避けるべきです。

② 医師・歯科医師の意見聴取
 健康診断結果の項目に異常の所見があると判断された労働者については、その結果に基づき、医師又は歯科医師(以下「医師等」といいます。)に、その労働者を業務に従事させて問題がないか等の意見を聴取する義務があります(安衛法第66条の4)。その際には、労働者に関する情報(労働者の健康診断結果のほか、労働時間や作業状況等)を適切に提供する必要があります。
 産業医を選任している事業場では産業医に意見を聴くことが望ましいですが、常時使用する労働者数が50人未満の事業場では、産業医が選任されていないことも多いです(安衛法第13条)。その場合には、独立行政法人労働者健康安全機構が運営し、各地に設置されている地域産業保健センターのサービスを利用できます。
 また、健康診断の判定結果の記載方法は、実施機関によって異なりますが、通常、「異常なし」「有所見健康(ほぼ正常)」「経過観察」「要再検査」「要医療」「治療中」等の診断区分が設けられ、どの区分に該当するかという医師の判定が記載されています。「有所見健康(ほぼ正常)」や「要経過観察」等の区分についても、「異常の所見があると判断された労働者」に該当するとして、医師等の意見聴取を行う義務が生じるのかについては、法令等では明らかではありません。ただし、実務上、少なくとも中央労働基準監督署の見解としては、「異常なし」という区分以外は「異常の所見」とみなしているようですので、大半のケースで医師等の意見聴取を行う必要が生じることとなります。

③ 労働時間短縮等の適切な措置
 医師等の意見聴取の結果(②)を踏まえて、その労働者が就業可能な健康状態か、就業を続けるために治療や改善が必要か、リスクがあるか等を検討し、必要があるときには、その労働者について就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を取る必要があります(安衛法第66条の5)
 このような改善措置を行わず、その結果労働者が疾病にり患、負傷、死亡等した場合には、事業者は安全配慮義務違反に問われる可能性が高いです。

④ 健康診断結果の労働者への通知
 健康診断の結果は、各労働者に通知する必要があります(安衛法第66条の6)。ただし、労働者が事業者の指定する医療機関以外で受診することを希望し、自身で健康診断を受けてその結果を提出した場合や、深夜業に従事する労働者が定期健康診断のほかに自発的に健康診断を受けた場合(安衛法第66条の2)については、当然ながら通知義務はありません。
 また、労働者は、通知された結果に基づき、精密検査や治療のために自己の判断で医療機関を受診したり、二次健康診断を受けたりすることが望まれますが、労働者に二次健康診断等を受けさせることは、事業者の義務ではありません。

⑤ 健康診断結果の所轄労働基準監督署長への報告
 定期的に実施される健康診断(安衛則第44条、第45条、第48条の健康診断のうち、定期に実施されるもの)については、常時50人以上の労働者を使用する事業場は、遅滞なく所轄労働基準監督署長に所定の報告書を提出しなければなりません(安衛法第100条1項、安衛則第52条)。
 また、特殊健康診断については、使用労働者数に限らず、これを実施したすべての事業場において、遅滞なく所轄労働基準監督署長に所定の報告書を提出しなければなりません。

⑥ 健康診断結果の記録
 健康診断結果は個人票として作成し、健康診断ごとに定められている期間(例:一般健康診断5年)、これを保管しなければなりません(安衛法第66条の3)。その際には、医師等の意見聴取の結果(②)も併せて保存すべきです。
 また、労働者の心身の状態に関する情報の多くは、個人情報保護法第2条3項の「要配慮個人情報」に該当しますので、慎重に管理する必要があります(安衛法第104条、105条)。管理方法については、厚生労働省が公表している以下の指針等が参考になります。

・「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」

・「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」


⑦ 健康診断の結果に基づく保健指導【努力義務】
 一般健康診断等の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければならないとされています(安衛法第66条の7)。ただし、努力義務ですので、このような保健指導等を行わなかったとしても罰則はありません。



5.義務違反時の罰則
 安衛法上義務付けられている健康診断(一般健康診断、特殊健康診断、歯科医師による健康診断、都道府県労働局長から指示された臨時の健康診断)を実施しなかった場合、健康診断の結果の記録を行わなかった場合、労働者に健康診断の結果を通知しなかった場合には、50万円以下の罰金の対象となります(安衛法第120条1号2号)。
 また、じん肺法上義務付けられている健康診断実施義務に違反した場合には、30万円以下の罰金の対象となります(じん肺法第45条1号)。

【弁護士への相談について】
 事業者が実施すべき健康診断には様々な種類のものがあり、それぞれ、対象者、検査項目や検査時期が法令で決められています。健康診断の実施義務等に違反した場合には罰金が科される場合もありますので、適切に実施する必要があります。
 また、健康診断の実施後は、必要に応じて就業環境の見直しを行う必要がありますし、労働者の健康管理に関しては、健康診断の実施のほかに、医師による面接指導やストレスチェック等の措置が必要となる場合もあります。
 近年、長時間労働の問題もあり、労働者の健康管理について注目が高まっていますので、労働者の健康管理についてご不安がある場合や、今一度見直しをされたい場合には、お気軽に弁護士までご相談ください。


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